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第32話 陰キャの姉はからかう

一週間ほど空いてしまい申し訳ありませんでした……。


それではどうぞ!



 はぁーいっ、シミュレーションとはいえ天使のお弁当を食べてうきうきな気分で家に帰ってきた阿久津来人だよっ☆

 教室に戻るのが少し遅れて教室中の視線が僕と風花さんに突き刺さったけど、天使に関わる以上しょうがないと思って諦めることにしました。


 それでふと授業中に僕の失態に気付いた。風花さんからまたお弁当作ってくるね的なことを言われたのを思い出したからだ。

 お昼休憩がもうすぐ終わることに動揺&お弁当パクパクで返事できなかったからなぁ……。ぐすん。


 ……そりゃ後悔しましたよ。だってあの極上のお弁当をまた食べるチャンスを棒に振っちゃったんだからね!

 今更感があって話題を出せずにそのまま悶々としながら最後まで授業を受けたよっ。


 まぁ風花さんの手作りお弁当を食べた事実があるので気分はテン☆アゲ、天上ナイトフィーバー☆ 心配ご無用へっちゃらの助! ……ごめん何言ってるんだろう僕(陰キャ的に言いなれない言葉に恥ずかしさを感じつつそっと目を逸らしながら)。


 そんなことを考えつつ、いつもの日課であるコンビニへ行って姉への献上品を購入したのだった。今日の僕はとっても気分が良いのでアイスの中でも高級品なゴ○ィバを買っていくとする。うん、夏場のアイスはジャスティス・オブ・ジャスティスだよ。これぞ真理。


 美味しいよねゴ○ィバ。色んな種類あってさ。


 そして我が家へ帰ってリビングへと行くと制服姿の姉がソファに寝そべりながら雑誌を読んでいた。

 ヤツは帰ってきた僕を一瞥すると、左手だけを差し伸べながら雑誌に視線を戻す。



「おかえり。……ん」

「いやこうしてスイーツを買うのが日課になってるけど、当たり前のように手を差し出されるとなんかイラッとくるよね。ただいま」

「ちっ、ゴ○ィバのアイスかよ。今日はスー○ーカ○プが良かったのに」

「相っ変わらず好みの気分の波が激しいな!? せっかく奮発して僕が食べたいの我慢して買ってきたのに! そんなに言うんだったら自分で買ってくるか好みのお菓子自分で作ればいいじゃん!」

「面倒くさい。あと何が悲しくてわざわざ自分で作ったお菓子を自分で食べなきゃなんねぇんだよ。コスパわりぃ、アホか」

「あれ、これ僕の方が正論の筈だよね……? なんで罵倒されてるの……?」



 はい、これが僕の姉……いやもう御姉様(クソあね)でいいか。

 白亜高校で生徒会の副生徒会長を務める才色兼備、頭脳明晰、運動神経抜群な高校三年生、阿久津麗華(あくつれいか)


 なんだか高校では御姉様(クソあね)の美しい姿(笑)や生徒の手本となる生徒会の象徴として『女神』とか言われてるらしいけど、残念ながらそれは全て幻想である。―――全校生徒よ、これが、真実だ(くわっ)。


 僕のクラスでも「麗華先輩きれーだよなぁ。付き合いたいわー」とか言ってる、僕と同じく顔面偏差値低めな生意気な男子がいたけど、色々知っている身内なので生暖かい視線をくれてやったよ。


 やーいやーいモブってるー(ブーメラン)!


 だいたい見よこの二面性を。家では「あ?(即技掛け)」とか「おらさっさと食えや来人(たまに夕食は御姉様クソあねが作る)」とか見事にファンキーゴリラ性を発揮してるのに、高校内や外出するときは「そうなのですかぁ(会話の相槌)」とか「きっとその人は○○さんの魅力を完全には理解されてないのですね……(微笑みながら恋愛相談)」ってガラッとスイッチを切り替えるがごとく変わるんだぜ。


 休み時間や放課後の時間、廊下ですれ違ったときとか空き教室でそんな御姉様(クソあね)を見た瞬間思わずゾッとしたね。

 きっと浮遊する幽霊も足生やして全力ダッシュで逃げ出すほどだよ。たぶん。


 はっきり言おう。その中と外で使い分ける努力は認めるが、弟からしてみるとコイツやべぇ(カタカタ)。



「なんか変なこと考えたか?」

「いいえ何も変なこと考えてないですハイ」

「……まぁいいや」

「じゃ、じゃあ、僕はちょっと夕食まで部屋に籠ってるよ! 勉強したりラノベ読んだりベッドの上でゴロゴロしてるから絶対覗かないでね? ……フリじゃないよ?」

「覗かねぇよ……ねぇ来人」

「どうしたねーちゃん。また文句?」



 考えを見透かされたことに思わず冷や汗をかくが、もうベッドの上でゴロゴロ悶えたかった僕。この身体中を(ほとばし)る、後悔のムズムズ感を少しでも発散するべく、部屋に行く為に僕は平静を保ちながら話を切り上げた。


 ふっ、天使な風花さんによる次のお弁当チャンスを逃したダメージは結構深いんだぜ……っ。



 何気なく僕が聞き返すと次の瞬間、視線をこっちに向けた御姉様(クソあね)がある言葉を問い掛けてきた。



「―――あんた、最近『天使』とよく話したり一緒に登下校してるらしいわね」

「なっ……!?」



 呼び方訂正。姉から風花さんの二つ名が出た事に驚愕の表情を浮かべてしまう僕。


 ななななんでねーちゃんがそんなこと知ってんの!?

 もしかして『女神』的な高校内の権力&生徒会メンバーを扱き使って情報が集まってきてんの!? まぁ天使と一緒に行動してればそりゃ多くの生徒に見られても不思議じゃないもんねぇ!?


 人脈の広さパネェのぉ!!



「は、はぁー? そそそ、そんなことないしー! きっとねーちゃんの勘違いだしぃー!?」

「……はぁ、その反応を見る限りホントみたいだな。……大丈夫(・・・)か?」

「うっ………………」



 僕を見つめる姉の視線は、ただただ大切な家族を気遣う感情が宿っていた。心の中でふざけようにも、僕を射抜く姉の双眸(そうぼう)がそれを許さない。

 その視線にくすぐったさを感じながらある事を思い出して、首元を(さす)る。


 「大丈夫か」と姉が放った言葉の真意は、すぐに理解出来た。僕の中学時代の出来事のようなことが起こっていないかという話だろう。


 先程のテンションを無理矢理沈めつつ、言葉を選んで言葉を紡ぐ。



「……大丈夫だよ。ラノベを読んでいるっていうだけで馬鹿になんてしてこないし、風花さんは何より、アイツらと違って僕の悪評(・・)を流したりしない。ねーちゃんが思っているようなことなんて何もないよ」

「…………そっか、ならいい」



 僕が話し終えると手をしっしっと振る。もう用事は無いということだろう。僕は冷静さを取り戻しつつ自分の部屋に戻ろうとすると、背後から姉がまたも声を掛けてきた。



「なぁ来人。そういえばもう一つ気になったんだが」

「今度は何さ?」

「―――『天使』のこと、下の名前で呼んでいるんだなァ」

「……ッ!! うっさい忘れろっ!!」



 ニヤつきながらそう姉が言うと、僕は急激に恥ずかしさを感じ、急いで部屋に戻る。二重の意味でベッドの上で悶えたのだった。


 ……ちくせう。





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