殺気
「涼子!!無事か?!」
ガラッ!と武道場の扉を勢いよく開ける。
肩で息をしながら目の前の光景を見る。いや、感じる。凄まじい殺意が伝わってくる。その殺意を出しているのは他ならぬ涼子だった。
「......風子?!どうしてここに?バイトはどうしたの?」
若干殺意は引っ込んだものの、それでも溢れかえった殺意を宿らした目で私を見る涼子。
......駄目だ、完全に殺る気だ。
今まさに試合という体で殺り合おうとしている、
涼子の前にいる、女性徒に叫ぶ。
「オイ!そこにいるお前!逃げろ!何したか知らねーが、涼子はお前を殺すぞ!」
「あー、ハハハ!曽根崎さんの恋人のヤンキーちゃんじゃないですかー」
.......ぶちっ。
「誰がヤンキーちゃんだコラ。せっかく忠告してやってんのに死にてーのかテメー」
「心配?ヤンキーちゃんの恋人がやられちまうのが?」
「どこを見ているの?正面の私をみなさい、殺してあげるから」
「......涼子。そいつの相手は悪いが私だ。すまねーが譲ってくれ」
「駄目よ。コイツは風子を馬鹿にしたわ。私と風子の事も」
「なら、直の事だ。テメーの面に泥塗られたんなら、テメーで払う」
「でも......」
「オイ!私を無視してんじゃ」
『三下は黙ってろ!!』
三下を黙らして、涼子に視線を合わせる。
いいな、なんだか自分が自分に戻っていく感じがする。久しぶりに体が燃える。
「後で、私を涼子の好きににしてくれていいからよ、ここは頼むわ。涼子コイツ殺しちまいそうだし」
「そりゃ、コイツ殺すつもりだったけど......」
「殺しちまったら、私とイチャつけねーぞ?私は、そんなのゴメンだからな?」
「ふふっ、分かったわ。風子のそういうトコ見るのも久しぶりね。覚悟なさい?今晩は、ご褒美じゃなくて、お仕置きよ」
「へっ。そいつはたまんねーな。さて、話も着いたことだし、やるか三下。私の性癖歪む責任とって、半殺しぐらいにはてもらうからな」
「ば、馬鹿にしやがって......!」
三下を前に持ち前の目付きの悪さを生かして、私はガンをつけた。
続く




