授業
なんでこんな金にもならない事なんてしてんだろーなー。
今、国語の授業を受けてるけど心底そー思う。
何してんだ私。バイトでもしてた方が家計の助けになんだろーに。
隣の涼子の横顔をチラリと見る。凛とした顔立ち。なんか1枚の絵画を見てるみてーな気分になる。
涼子がうるせーんだよな、授業ちゃんと受けてねーと。あと、こんないい高校行かしてもらってる家族にも申し訳立たねー。
ちゃんとしよ。
背筋を伸ばして前を向く。
「偉いわね、風子」
「けっ、ちゃんとしねーと涼子がうるせーからな」
「後でご褒美をあげるわね」
「......」
別に物欲しそうな顔してないからな?
涼子がいっつもこうなだけだからな?
なんか言い訳くさくなるから止めとこう......。
紅潮した顔しつつも、私は授業を真面目に受けた。
授業が終わり、いつもの様に私はバイトへ向かう。涼子は部活へ行く。ここで一旦お別れだ。ご褒美は夜って訳だ。
「じゃーな涼子。部活頑張れよ!」
「貴女もアルバイト頑張ってね、風子。今晩のご褒美は期待しててね」
「お、おう」
「ぶち殺してくるから」
涼子が小声で呟いた最後の言葉は聞こえなかったけど、うーん、期待してねーけど、すげえみたいだ今日のご褒美。いや、楽しみとかしてねーからな?そー思いながらも足は軽く、校門を潜り、ルンルンでバイト先に向かう私。どーなっちまうんだろ私。
不意に後ろから強く呼び止められた。
「飾鳴先輩!飾鳴先輩ですよね!」
誰だ、気分の良い時に?今ケンカする気分じゃねーぞ、めんどくさい。まー、ケンカ売られたら買うけどな。
後ろを振り向き様に、目付きの悪い目でメンチを切りながら、
「なんだテメー......ってお前空手部の?」
見れば、空手の道着を着た後輩?だろうか。肩で息をしながら私に言ってくる。
「良かった、見つかって!自分は空手部の一年の登張と言います!曽根崎先輩が、曽根崎先輩が大変なんです!」
聞いた瞬間、嫌な予感が走った。
バイトどころじゃねー、即座に駆け出し空手部のある、武道場へ向かった。
続く




