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バイト先




「ふぅ......。よっしゃ!」



ここは、学校近くの某ファミレス。私のバイト先だ。ただいま私はビールサーバーの取り換えを終え、額に浮かんだ汗を片手でぬぐっていた。



「大丈夫かい?飾鳴さん。君は女の子なんだから力仕事は男連中にやらせればいいんだよ?」



同じバイトのイケメンの優さ男が言ってくる。



「大丈夫ですよ~。私、体動かすの好きですから~」



嘘は言ってない。体を動かすのは好きだし、目付きが悪いのを除けば、私もそこそこ可愛いのだ。だから仕事先ではこういうキャラでいってる。

家計の為だ。面倒事は起こしたくない。喧嘩っぱやい私でも自制ぐらいは出来る。いや、喧嘩は彼女に封じられてる。ちくしょう、飼い慣らされてんな。



「でも、君は女の子なんだからもっと俺を頼ってくれていいんだよ?可愛いんだから」



あーしつこい。苦笑いが出ないように営業スマイルであしらう。やっぱ私短気だな。これぐらいでイライラしちまう。世の中のサラリーマンは大変だ、偏見だけど。


仕事が終わって、制服に着替えても上がりが一緒の優さ男君はひつこく喋りかけてくる。

うーん、どうしたもんか。いい加減私も、はぁ、とか、へぇ、としか言葉が出て来なくなる。

つーか、キレそう。限界。私にしては、よく我慢した。

そこに聞き馴染んだ声が聞こえた。



「何してるのかしら?風子。浮気?」



そこに、涼子がたたずんでいた。気のせいか少し虚ろな瞳で。

けどいつものごとく、いや、いつもより2割増しぐらいの他者を圧倒するオーラを放っていた。私も若干気圧される。やっぱ、私の彼女たな、スゲー。



「お、俺用事思い出した。ごめん飾鳴さん、またね」



「二度と風子に近付くな」



涼子は、止めの一言を差して、優さ男君を追っ払う。

さっきまでイライラしてたのが嘘のようで、今は、なんだかむず痒い気持ちになりながらも言う。



「涼子。いや、ありがてーんだけどさ、一応職場の人間なんだからさ──!!」



気配も分からず正面からいきなり抱きつかれた。



「ちょ、ちょっ!!りょ、涼子!く、暗がりだけど、ちょっと待って!」



「好きよ、風子。誰にも渡したくない」



ギューと力強く抱きしめられて、なんならサワサワとお尻も触ってくる涼子。毎度ながら強引だけど手慣れてんだよなあ。でもいつもと違う気がして違和感を感じた。



「な、なんだよ、涼子。いつもより強引だぞ!......あん。こらぁ!」



「女同士だけど、私の事好き?」



腰に手を回し、私の顎をクイッと持ち上げ固定する。逃げ場がないまま私の瞳は涼子に覗かれる。



「......あんな、優さ男の事気にしてんのか?わ、私はお前の事しか知らねーんだぞ?す、好きに決まってるだろ......!」



赤く顔が染まるのが自分で分かる。それを見て涼子は満足というよりは安心したような顔で、




「悪くない答えよ、風子」



私の唇をキスで塞ぐ涼子。相変わらずキスも上手い。でも、やっぱりいつもより荒々しいのは、さっきの優さ男君のせいか。

気持ちいーからいーけどさ。

両腕を涼子の肩に回しキスを貪る私。



涼子に感じた違和感を置き去りにしたまま──






続く























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