決着
金田はうっすら笑いながら
「なぶってやるつもりだったが終わらしてやる」
「こっちのセリフだ三下」
私と金田の間合いが埋まっていく。
じりじりと重い空気が張り詰めていく。
プレッシャーがかかる中後ろには下がらず、後ろ足に重心を置き、狙うは右拳のカウンター!
おそらく相手は、右の正拳突きで顎か、胴を狙ってくる。それに合わせる!
金田の笑みが消える。
来る.......!
読み通り!右の正拳突き。狙いは胴だ!
極限の気合いで初動動作で見切る。後は合わせるのみ。だが速い!さっきまでとは違う。へっ、なりと違って稽古積んできたんだろーな。相打ちじょーとーだ!
「最短で!一直線で!真っ直ぐに!」
ゴッ!!
鈍器と鈍器がぶつかる音がした。
金田の突きが浅く私の脇腹に刺さり、私の右パンチは、金田の顎を捉えていた。
金田は、ニッと笑うと両面がぐるりと白目を剥き、ズルリと崩れ落ちた......。
ズキズキと痛む脇腹を気合いで我慢して、私は金田を倒したのを視認した。
危なかった......。あの速さで顎を狙われていたら、少なくとも相打ちだったろーな。
へっ、金田。名前覚えといてやるよ。
スゥッとひと息吸うと、
「ワンパンじゃーー!!」
私は雄叫びを上げる。
「そこは、一撃!じゃない?風子」
涼子とのカルチャーの違いをスルーして、
右こぶしを高々上げるのだった。
続く




