早起きは三文の得
「へっへっへ~ん」
今朝はなんか知らんけど早く目が覚めちまった。普段なら損した気分なんだけど、今朝は気分がいい。500円拾ったからか?
これが早起きは三文の得ってヤツか?
私は、そんなに安くないぞ。
「あら、おはよう。今日は早いのね風ちゃん」
「オッス、婆さん!」
近所の婆さんの挨拶に、余裕を持って答える私。今日は確実に遅刻しない、小一時間は余っている。どーすっかな、学校ついてから。
アイツが朝の当番だったっけか、からかって時間ツブすとするか。
ひっひっひっ、朝の楽しみが出来た。
──って、思ってたのに、なんで始業のチャイムが鳴ってんだよおおお!!
猛烈にダッシュして校門を潜り、急いで教室に向かう。
あー、ちっくしょう!朝イチでアイツをからかうつもりが、これじゃいつものようにからかわれちまう。
頭の中で、嫌いじゃないけど苦手なソイツにからかわれるところを想像して、朝のごきげんな気分が萎えていく。
ガラリ!!教室のドアを開ける。ま、間に合った!
「あら、お早う風さん。早起きしたけど、野良猫に餌をやったり、迷子の小学生を送ったりして遅刻しそうになったのかしら?」
アイツが私に開口一番皮肉な挨拶をしてくる。
ちくしょーその通りだから、ぐぅの音も出ねえ。
「けっ、その通りだ、バカヤロウ。」
ソイツの隣の席につく。私の隣のソイツの名は、曽根崎 涼子。
私の恋人だ。
続く




