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記憶の果て〜俺は謎の少女に能力を貰った〜  作者: 郁嶋稚早
1章 名もなき小さな村
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4話 強くなる方法

元々あった5話を付けたしているのでいつもより長いです。

「ふぅ……シチュー美味しかったね。僕食べ過ぎちゃったよ」と言いながらヘープ兄ちゃんはさすさすとお腹を撫でている。


「ヘープ兄ちゃんシチュー大好きだもんね」


「ついつい食べ過ぎちゃうんだけどね。それで、今日ウーボたちに何かされたの?いつもより帰ってくるの遅かったし、村長までいたし」


 僕はヘープ兄ちゃんから顔を背ける。あまり母さんとヘープ兄ちゃんにウーボたちに混血だと言われたことを言いたくない。僕は混血であることを気にしてないけど、2人とを顔には出さないけど気にしているようだから。


 するとヘープ兄ちゃんは何か察したように優しい声で


「何か僕に言いにくいことでも言われたの?」と聞いてきた。




 僕は背けていた顔を戻し目を合わせる。やっぱりヘープ兄ちゃんに隠し事はできそうにないや。


「……うん。僕たちのことを混血だって言ったんだ」


  僕の話を聞いたヘープ兄ちゃんは少し驚いた顔をした。


「それって、ウーボが言ったの?珍しいな」



 あれ?確かに言われてみればウーボは混血だって言ってなかった気がする。


「ウーボは言ってなかったよ」


「やっぱり、ウーボはめんどくさい奴だけどあの双子に比べたら根はいいやつだと思うから。まっ、ヴィーに関しては妙に意地悪だけど」と何か楽しそうに笑っている。


 弟がいじめられているのに笑っているのはどうかと思うよヘープ兄ちゃん。


「それに僕たちが混血だって言われるのはしょうがないよね。事実だし」


「ヘープ兄ちゃん!」


「けど、混血であることには変わりはない。僕たちは使えるはずの能力が使えないだから。だから、この村に貢献できることは少ないしそれで悪く言われるのはしょうがないことでもある」


「けどさ、ヘープ兄ちゃんはそれでいいの?」


 ヘープ兄ちゃんは首を振りながら、


「まさか、能力が使えないからって強くなれないわけじゃないだろ?ゆくゆくはこの村から出ようと思っているんだ。ヴィーそんな驚いた顔してどうしたの?」


 そりゃ驚くよ!村から出るなんて、そんなこと僕考えたこともなかった。そもそも村から出るなんて可能なの?月に一回村長を含め能力持ちの強い人たちでどこかに出かけているのは知っているけど。村から出て行った人の話なんか聞いたことない。


「ヴィー、そんな深く考えないでよ。僕はまだまだ強くないし、もっと大人になってからのことだから。ヴィーは興味ないの?外には勇者がいるんだよ?ヴィーが大好きでよく読んでる絵本の勇者は存在する人物なんだ」


「えぇ!そうなの!何で教えてくれなかったの」


「今教えてあげたでしょ」


 そういうことじゃないんだよ。その時に言ってくれればよかったじゃん。


 そう僕は絵本に登場する勇者が憧れなんだ。恥ずかしいからウーボたちには絶対知られたくないけど、母さんたちは応援してくれる。勇者になれないのは知ってるけどせめて悪い奴を倒せるぐらいには強くなりたい。


「けど、僕たち強くなれるかな。イチ―エ族の能力は使えないんだよ?」


「そうだなぁ。取り敢えず、ヴィーは泣かないこととか?」


「うっ。今日はそんなに泣かなかったって!」


「あはははははっ、そっか」


 うぅ……。



「強くなれる方法、体を鍛えるとか?」


「けど、体の鍛え方なんか分かんないよ。……そうだ、強いといえば村長に聞いてみたら!」


「えー、何でよりによって村長なの」


 と言ってヘープ兄ちゃんは嫌そうな顔をする。ヘープ兄ちゃん、村長のこと嫌いだったね。


「村長って、小さな村だけどこの村を魔物から守ってくれるし。何よりあの筋肉は相当鍛えてると思うんだ」


「まぁ、確かに。なら、明日村長にどうしたら強くなれるか聞いてみるか 」


「うん。明日も朝は早く起きないといけないからもう寝よっか、おやすみ」














 体が揺れる。誰かが僕の名前を呼んでいる。誰だ?


 僕はまだ眠たいんだ。お願いだから寝かせて……。


「ヴィー……ヴィー!いい加減にしろ!早く起きないと村長のところに行けなくなるよ! 」


「ふぇ…!ヘープ兄ちゃん、今何時! 」


 僕は焦って体をベッドから起こす。ヘープ兄ちゃんは腕を組んで立っていた。


「今は6時だ」


「何だまだ間に合うじゃん」


 と言って、ほっと息を吐いた。僕がもう一度布団に戻ろうとすると、


「今日の午前は昨日の続きの薬草を摘まないといけないんだよ。それに午後から村長の家に行くんでしょ?村長はいつも昼時ぐらいにしか家にいないんだから!ほら急いで! 」


 と珍しくヘープ兄ちゃんに怒られたのだ。














 一階にヘープ兄ちゃんと身支度をして降りていくと、既に母さんが料理を作って並べていた。


「おはよう、ヴィー、ヘープ。あら二人とも昨日は夜更かしでもしたの? 」


 と母さんは元気そうに笑い昨日の悲しそうな笑みはどこにもなかった。なんだちょっとだけ心配してたのに。


「あっ、おばさんおはようございます。昨日はちょっとだけ、ヴィーと村長の家に行くことになって」


「そうなの?あんまり迷惑をかけてはダメよ? 」


「分かってるよ。後母さん今日の昼は村長と食べるから弁当作って」


 いつもよりぶっきらぼうな言い方になってしまったのはしょうがないことだと思う。そして大きな口でパンを頬張る。


「はいはい、わかりました。そんなにご飯を口一杯に詰め込まないで。喉に詰まるわよ? 」


「……もぐ、わっ……もぐ……た」


「返事しなくていいから」と言って母さんの目は冷たい。




 母さんはマナーにうるさい。特に食事のマナーに。肘をついて食べようものならすぐに僕を見る目が冷たくなる。暴力は振るわれないけど結構怖い。















「よし、こんだけ薬草があればおばさんも薬を作るのに当分は困らないだろう」とヘープ兄ちゃんは薬草を袋に入れる。


「うん。それにしても、ここには沢山の薬草があったね」


 僕たちの目の前には大きな水溜まりがありその周りに薬草が沢山生えている。多分どこかからか水が湧き出ているのかもしれない。本で読んだことがある。


「まぁ、こんな森の中の洞窟まで取りに来る人はいないでしょ。多分村の人は誰も気づいてないんじゃないのかな?」


「そっか。だったら、ここはヘープ兄ちゃんと僕の秘密の場所だね」


「そうだね」


 そう言ってヘープ兄ちゃんと僕は微笑み合い村長の家へと向かった。



村長は、小さな村を魔物から一人で守っています。その理由は後数話で判明するのでお楽しみに。


そしてついに、魔法と能力の話が出てきます。

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