9話 魔法
その後。
もう夜になるからと言う理由で村長に家へと帰された。
もちろん今日あったことは母さんに何1つ話していない。だが、これから毎日村長の家に行くと言ったら村長に弁当を持って行けと言うのだ。母さんは村長に優しすぎると思う。
その日の夜はヘープ兄ちゃんも僕もヘトヘトで特に能力について話さずに寝た。どうせあの村長のことだ。きっと、スパルタに違いない。
朝、鳥の鳴き声で目が覚める。村長の家に行くのは昼からなので、朝のルーティンは変わらない。いつも通り母さんの美味しい朝ごはんを食べ薬を作るための薬草を取りに行く。
そうして、昨日と同じように村長の家へと向かった。
「よし。坊主たちも逃げ出すことなくちゃんと来たな。いや、まさか坊主たちを鍛えるとは言え弁当が手に入ると思ってなかったがなー! 」とがはははははと豪快に笑っている。村長は大切そうに弁当を抱えている。
いや、誰も盗む人なんていないと思うから取り敢えず机に置いたら?僕に向かってそんなに威嚇しなくても村長の分を取ったりしないから。ほんと呆れる。
3人で昼を済ました後、早速村長に外に出ろと言われた。
「それでは今日は魔法についてだ」とおっほんと咳払いをする。
何偉そうにしちゃて。母さんに告げ口。
「そこっ!坊主!なんか変なこと考えただろ! 」と素早く指を指してくる。
「べっ、別に何も考えてないって。早くしようよ! 」
びっくりした。心臓が激しくなっている。ちっ!村長のくせに変なところで鋭いんだから。
「変なことしたら坊主の練習量2倍にするからな!よし、……気をとりなおして、昨日も言ったように混血である俺たちは魔力は少ないが魔法が使える。魔法には属性があってな?火、水、風、土、無、光、闇の7属性だ。だが基本火、水、風、土の4属性だと思ってくれたらいい。てか、俺はその4属性しか教えれないんだが。ちなみに坊主、勇者は何人いるか知っているか? 」
僕にそう聞いてきた村長はニヤニヤ人を小馬鹿にした笑みを浮かべている。
僕だってそのぐらい知っている。何より僕は勇者様に憧れているんだ。
「火、水、風、土、無の5人の勇者様だよね? 」
「へぇ、感心感心。ちゃんと知ってたんだなぁ」
「それぐらい知ってるよ! 」
「まっ、落ち着けって、話を戻すぞ。なぜ勇者が強いかと言うとなそれは魔力が多いからだ。このことは一般的に知られているよな?だが、他にもあってな?勇者は基本1つの属性しか使えない。だから魔力を分散させることなく強大な魔法が使える。まっ、勇者が強い理由はそれだけじゃねぇけど。だから、属性が多い方がいいと勘違いすんなよ?属性が下手に多い場合器用貧乏になっちまう可能性が高いからな? 」
えっ、そうなんだ。僕はすっかり属性が多い方がいいと思ってた。
だって、色々な魔法が使える方がかっこいいし?知りたくないことを知ってしまった気分だ。