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「おい」「ねえ」
僕が焼き魚を食べていたら、アークさんとリアさんが話しかけてきた。
険悪そうな顔してるけど・・・お腹壊したのかな?
「ん?なはり?(なあに)」
「貴方達、さっき食べたばかりでしょうが。
そんな事やってないでさっさと行きましょう!」
「みゃーみゃー。(まーまー)」
ごくん。
う。魚がのどに詰まった(泣)。
ごくごく。ぷはー。
はー。水がおいしい。のどもすっきり☆
「ほんなはわてなふってほ、はいひょうふらよぉ」
さらに、魚もう一口ほうばってから、続きを話した。
「・・・(怒)そんな事言ってないで行きましょう!」
アークさん。ばあぁぁぁぁぁん‼て音するくらい思いっきりテーブル叩かなくてもぉ。鼓膜が破れるかと思っちゃたヨ。
「よくトニー(こいつ)の言ってっ事わかんなー。
つか、トニー食いながら喋んな。行儀わりーだろーが」
アークさんが、僕に行儀作法を教えてるライ君をキッと睨んだ。
行儀作法教えるのいけない事なのかな?
「貴方も!さっさと行きましょう!」
「俺に指図すんな(怒)」
チャキッと剣をアークさんに向けて、静かに言うライ君。相変わらず指図されるの嫌いなんだなぁ。
流石に恐くなったんだな。顔から血の気引いてるよ。
そして、アークさんは魚料理をがつがつ食べ始めた。
な~んだ。
「お腹空いてたんだネ」
「ちっがーう!
早く行くために、早く食い終わるんだ!」
食べながら言った。
・・・よく食べながら普通に喋れるなぁ。きっと、食べながら普通に話せるか大会で優勝するよっ!見習わなくっちゃ!
僕は食べながらほくほくと考えていた。
「なら、テメー等だけで行きゃいーだろ。そこまで言うんだ、腕に自身有りなんだろ?」
ハーブティーをすすりながら、ライ君は突き放した様に言った。
僕もまあ、そう思うけど・・・。けど大会は?
「それもそうだな」
しばし考えて、アークさんが言った。
「どっちにしろ二人で旅する積もりだったし。行こうぜ!リア」
「う・・・うん・・・」
店の外にズカズカ音を立てながら出て行くアークさんのあとを、リアさんが付いて行く。
時々こっちを見て。
太陽が沈み、辺りはすっかり夜の静けさに満ちている。
僕達は今、町の宿の一階にいる。僕達というのは、僕とティルとライ君とルック君とアークさんとリアさんのこと。
―あの後、魚料理をゆっくり食べ終えて、のんびりと観光しながら、この町に一つしかない宿に向かった。あっ、もちろんソシリアの情報収集も忘れなかったよ!僕えらぁい!
そして宿のおじさんに、二人組みの若い男女がどの部屋にいるか聞いて、そこに行った。そこにはアークさんとリアさんが、ボーッとして座っていた。
もちろんこうなるって予測してた(主にティルとライ君がだケド)。
「あーはっはっはっはっはっはっはっ!
くくくくくっっっ!気はくくくっ済んだ、か?はっはっはー」
アークさんとリアさんを指差して、笑い転げながら言ったのはライ君だ。
・・・笑い茸でも食べたのかな?
「~っ!」
赤面して黙り込む二人。
そこへティルが、
「ライ。いくらなんでも笑いすぎ。
ちょっと、酷いと思うわ」
と、言った。
「ちょっと、思うだけ、ですか・・・」
ちょっと非難めいて言うリアさん。
「あっはっは!ちょっと思って貰えるだけでも、ありがたいと思え。もっとも、俺は全然思わないがな」
冷めた口調でライ君が言い切った。
ライ君・・・それは酷すぎだよぅ(汗)。いくらなんでも・・・。
「トニーも。こいつらに同情してやる事は無いぞ」
「えっ。でも・・・」
「モンスターがウジャウジャしている様な所に、舟が出る筈も無い。皆命が惜しいからな。なのに港に行くなんざ、阿保以外の何ものでもねーよ」
「それは・・・」
そう思うけど・・・。でも言うのは酷いよねぇ。・・・たぶん。
「それより、さっさと食べて、今日はもう寝ましょう」
「うん!賛成!」
同意してテーブルにのった料理を次々と平らげる。
横でアークさんとリアさんが手をぶんぶか振ったりテーブルをばんばか叩いたりしながら何か叫んでるけど、どやどやと入ってきた団体さんの喧騒で何言ってるのか良く分んないや。食べ終わって部屋に行く途中も何か言ってたけどよってどんちゃん騒ぎしてる団体さんの喧騒でやっぱり何言ってるか分んない。まぁ明日聞けばいいよネ(眠)。