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旅への手順  作者: 蒼穹月
7/22

-3-

「分かったわ」

キッパリ相談無しに受けるティル。

僕は構わないんだけど・・・。ライ君はやっぱり気に入らない様子。

―て・・・。

ら、ライ君が剣持って震えてる!

大変!風邪でもひいたのかなぁ?

「トニー!『風邪でもひいたのかなぁ』なんて考えてんじゃねーぞ!」

『』の中は僕の口真似で言う。

というか。

え・・・なっ、

「何で分かったの!?」

・・・・・・し~ん・・・・・・

「まぢで考えてたのかョ・・・。

・・・まあいい。

それよりティル」

ティルの方を向き、剣先も向ける。

「言っとくけど。ライの言うことは聞かないからね」

「何言うか分かった様な口振りじゃねぇか」

僕達はティルをぢーっと見て、ティルはライ君をぢーっと見る。

そして、ハンッ!と言って、ビシィッ!とライ君を指差す。

「あんたがこの状況で言うといえば、一つしかないでしょう」

風邪ひいた~とでも言うのかな?

「言っとくけどトニーが考えていることとは違うからね」

え?ティルまで僕の考えていることが分かるなんて!

「読心術?」

「違うから。トニーと何年一緒にいると思ってんのよ」

呆れ顔で言われてもぉ。

「何年だっけ?」

「もういいわ・・・」

大きな溜息を吐いて、ライに向きなおす。

「ま、そういうわけだから」

「ほぉーぅ。言ってみろよ。俺は何て言うんだ?」

「『そんな仕事俺の意見無しに決めんな』」

キッパリハッキリ言い切った。

何だぁ、風邪じゃないのかぁ。がっかり。

「分かってんじゃねーか」

「だから無視したのよ」

「俺だけじゃなく、この二人の意見はどーだよ」

「トニーはOKするわ。

ルックは何も言わずに付いて来るし」

冷めた口調で言ううティル。

「まっ。た・す・う・け・つってことで♡」

四の五の言わせない威厳に満ちた声で更に言う。

「嫌だね」

ライ君はそれでも言うけど。

「言う事聞かない子は呪うわよ」

大人びた口調で、しかし本気顔で、ライ君の鼻に両手を当てて凄みをきかせる。

「おまっえ、それ・・・卑怯っ・・・。

~ちっ、分かったよ!」

不満げにライ君が渋々OKした。ティルの呪って半端ないもんねぇ(震)。

ちなみに僕達は二人の話の間お茶を啜って待ってたんだぁ~。偉いでしょぉ。

「あ。終った?

カベックさん、『ぢゃっ、よろぴく♡』って言って帰ったヨ」

手を振りながら、お茶を飲み干す。

本当はローズより番茶のが好きだけど。番茶無いから(悲)。

『あっ・・・そう・・・』

なんか、どこか力が無いっぽいけど・・・気のせいだよね。うん。

「じゃあ行こう」

席を立った僕を、しかしライ君は止めた。

「ちょっち待て」

「なに?」

小首を傾げてライ君を見る僕。ライ君は怖い目をして之でもかって程僕の顔に近づく。なんだか凄く深い眉間の皺が見えた気が・・・。

「これは『依頼』だよな」

ぐわしって効果音が聞こえそうな勢いで僕の両肩を掴み、更に力を入れられる。はっきし言って痛い(泣)。

「うん。依頼・・・だよね」

同意を求めて僕の横に飛んできたティルを見る。ティルはきょとんってしてる。

「ええ。当たり前の様に依頼よね」

「なら。依頼料は?」

・・・。

空気が止まった気がした後、ふと気付く。

『あ。』

二人合わせてポンと手を叩く。

「どおりでゴキブリに負けないような素早さだと思った」

ゴキブリを思い出しながら答えると、ライ君はさっと僕から離れた。

「お前・・・。なんつうもんを例えに使うんだっ」

顔面蒼白で震えてる。

「ライ君風邪?」

「違うわ!

くぅぅっ!シバきたいが今はトニーに近づきたくねー!ティル代わりにやらんか?」

震える手でハリセンをティルに差し出すライ君。何もしないという選択肢は無しなのかなぁ・・・。

ティルを見ると面白い物を見た時の満面の笑顔で首を横に振る。

「お断りしま~す♡」

良かったぁ。

「それより。依頼料どうしよう・・・」

「今更な話だけど素直に交渉するしかないわね。

トニー、契約書は交わしてないんでしょ?」

「うん。依頼料の話しなかったし」

「なら。アークかリア、カベックの家まで案内なさい」

後ろでルック君と一緒に居た二人を見る。

ルック君の側って居心地いいんだよねぇ。ほわ~んってしててぇ。

「こんな基本も出来てない奴らでさえ旅出来てんのに、何で俺らはこんなに苦労しなきゃいけないんだ。そうは思わないか?リア」

半眼で僕達をじと~って見るアークさん。リアさんは苦笑いしながら頷く。

たまたまうっかりしてただけだもん・・・。

顔を真っ赤にして口を尖らせて膨れる僕を余所に、ティルは半眼で返してスイってアークさんの鼻先まで飛んでいく。後ろに居るはずの無い魔人が見えた気がした。

気のせいという事にしよう。だって、ティル怖いんだもん。

「良いから教えなさい」

静かな口調で言ってるのを聞くとやっぱりさっきの魔人は気のせいだったんだネ♡。アークさんが蒼い顔して滝の様に汗流してるけどきっと具合が悪いんだネ。後で病院に行く事を勧めようかな。

「っち。仕方ねーな」

胸を反らして睨みつけつつ震える声で了承してくれるアークさん。少しづづルック君の陰に移動する。

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