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旅への手順  作者: 蒼穹月
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-4-

「こ、これはいったい⁉長老!」

「うむ。きっと魔物が暴れたんじゃ!」

「グルアアァァア‼」

「うわあぁ!でたあ!」

外では、崩れた岩から魔物がでたらしい。町の人達の叫び声が聞こえる。

僕は今、岩の下敷きになっている。とっさにティルが、防御魔法を唱えてくれたみたいで、なんとか怪我は一つも無い。でも、岩は重く、岩に押し付けられて、字が書けないから龍術も使えない。出るに出られなくて、遠く、町の人達の悲鳴をただただ聞いていた。しくしく(泣)。

ずしゃっ。

「う・・・。重ひ」

どうやら。魔物は歩き出して、ちょうど僕の真上に乗ったらしい。

う~ん。この重さから言って、デーモン、かな?って、何で僕こんなに落着いてるんだろう。

「あ~。過去あったことが、次々に頭の中を駆け巡る~」

「それってヤバイわよ。トニーもう直ぐ死ぬってことよ」

ピクッ。

「嫌だあ!

風龍上天―!」

ドウッ!

無我夢中で放った一撃は、上にいた魔物ごと、岩を吹飛ばした。魔物が乗った時に、岩がずれて、字が書けるようになってたんだ。

「やったあ。でれたー」

両腕振り上げて喜ぶ僕は、やっとティルに気付いた。

「そういえばティル。どうして僕のところに?」

「私は妖精だもの。少し隙間があれば、通れるわよ」

そっか。

「小さいって便利だネ」

「一言多い(怒)」

思いっきり殴られちゃった。褒めたのに。

「ライ君とルック君は?」

ティルは下を指差した。

あ。なるほど。まだ下敷きになってるんだ。

下を見ると、そこにはライ君がいた。僕の足の真下に・・・(汗)。

血が出そうなほど青筋浮かべ起き上がるライ君に、思いっきり殴られ、足蹴にされ、怒られた。

ついてないよう(泣)。

ふぅ。ルック君は、と。

探していると上から降りてきた。ルック君の召喚獣、ニック君に助けてもらったみたい。

 ニック君は巨鳥にドラゴンを足したような姿をしてるとっても可愛い獣なんだ。相変わらず気持ち良さそうな羽毛だなぁ(ウットリ)。

「皆無事だ・・・」

「ウグオウ!」

ザクッ!

ライ君の言葉は中断された。デーモンにいきなり攻撃されて。

とっさに避けたものの、ライ君は右腕に引っ掻き傷を付けられ血を流している。

プチッ。と、音がした。そしてライ君が。

「トニー。炎龍爆獄衝をやれ」

「えっ⁉で、でもあれは・・・」

「い・い・か・ら・やれ(怒)」

う。ら・ライ君が・・・怖い。

「うー。どうなっても知らないよぉ?」

僕はライ君の剣幕に負けて、しぶしぶ空中に【炎】って書いた。

「炎龍爆獄衝!」

どぐおおおおおんんっ!

僕の放った一撃は僕達と町人達を除いて、見事直径1キロ程の森を炎上し吹飛ばした。もちろん魔物も。

後には、僕達と、町の人達と、焦げた地面だけが残った。

「だから使いたくなかったのにぃ」

「ふんっ。俺に傷を付けた罰だ」

あううー。ライ君ってば、それ位であの龍術わせなくてもぉ。使ったのは僕だけどさ。

「な。何て事をしてくれたんじゃ!森を。ワシ等の森をっ!」

あうっ(汗)。

使う前からこう言われるの、予想してたけど・・・。実際こうなると。

「ふん。テメェ等が言ってた魔物も、ついでに倒せたろうし、いーじゃねぇか」

まだ気が晴れないのか、ティルに傷を治してもらいながらライ君が言った。

そういう問題じゃないと思うんだけどなぁ。でも、怖くて言えないや。龍術使ったの僕だから、精神石状態。

「いや、だろう。じゃなくて、今、目の前で倒して頂いたのですが」

・・・。

『へっ?』

ルック君以外、見事にはもっちゃた。

そして始めに口を開いたのはライ君。

「オイ。まさか・・・さっきのデーモンがそう、ってんじゃねーよな?」

体を振るわせて言う。

『まったくもって、そのとおり』

「ですじゃ」

町の人達のはもりに僕達は、揃ってだんまりー太君になっちゃった。

だいたい考えてること、分からないでもないけど。

ライ君は、

たかがデーモンごときで、こんな事すんじゃねーよ。

ティルは、

まあ、普通の人から見れば、デーモンは怖いだろうケド・・・。

ルック君は、

怖いのか・・・。

そんな感じかな。

僕は、

どうしてデーモン怖いんだろう?可愛いと思うけど。って考えてる。

そんな僕達に、長老さんが、

「それより、森を何とかしてもらわにゃ、困るんじゃが」

と、言った。

反論する力を無くした僕達は、とりあえず僕とティルの合成龍魔法で地上に命を吹き込み、少なくなってた依頼料を貰うと、そのまま次の町へ向かった。


かくて、僕達の苦労とは裏腹に、虚しい戦いは終った。

それから着いた次の町では魔物園というのがあって、そこのデーモンが抜け出してドフィルに向かったと聞いた。しかもドフィルで貰った依頼料より、多い懸賞金が懸けられていた。

「もしかして、この前のデーモン」

「言うなトニー。虚しくなるだけだ」

と、魔物園の前で、風に吹かれて僕達は立っていた。

そして最後に堅く誓った。


山はもういい。今度は港町に行こう・・・と。

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