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旅への手順  作者: 蒼穹月


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18/22

-14-

いつもよりちょと長いです。

過去データをコピペしてるだけなので、うまく文字数制御ができないです。

「あれ?朝日?」

目を擦りながら起きたら、山から覗く太陽が見えた。

「夕日だ。馬鹿」

ライ君が殴った。頭に鈍い痛みが・・・。

そいえば、反対側に太陽あったんだった。

「じゃあ結界張って寝なおそう」

空中に【界】って書いてたら、ライ君に邪魔された。

「動くぞ」

ライ君が僕じゃない方を見て言った。

同じ方を見ると一塊の影が動いた。

「何?」

「もう忘れたんかっ。己わ!」

すぱこーん!と小気味良い音がした。

相変わらず何所からハリセンが・・・。

頭にも一度痛みが。ライ君酷いぃ。

「えと。街の人達が寝る準備?」

「んなわけあるかああぁぁぁぁぁ!」

ずごん!

「痛いぃー!」

ハリセンなのに板で打たれた痛さだよう。

さっきは否定しなかったのにぃ。いつもより、倍キツイ気がする・・・。

・・・。あれ?ティル?右見て左見て。上見て下見て後ろ見て。ティル居ない。

「!ティルー!ティルー!何所ぉ!?」

「落着け。実はな・・・」

あれ?何であらぬ方向くの?しかも震えて・・・。

「まあそのなんだ」

何で頬を掻くの?

「ねえ。ティルどうしたの?ねえぇ」

うまく声が出ない・・・。何で僕こんなに不安なの?

「あれだ。もう俺達といれないからっつて、自然に帰った」

目だけ僕を見る。

「何だ冗談か。で、ほんとは?」

「何だよ。もっと慌てろよ。何時もみたいによ」

ライ君が詰まんなそうに言った。

生まれた時からずっと一緒だったもん。

「ありえないもん」

僕の一番大切な信頼してる家族。兄弟みたいに育ってきたんだ。僕達は。

「ほー。偉い自身だな」

感心してくれる。

「うん」

ちょっと、得意になってみたり。

「とか言ってる間に帰ってきたぜ」

見ると街の皆がいる方からティルが来た。

「どうやら、事の発端の領主と魔物を殺した人達を生贄に出して、怒りを沈めて貰おうとしてるみたい」

「まあ。尻拭いとしては、当然だろうが。納得してねえだろ」

「してないわね。縛られてるわ」

二人が他人の事で真面目に話してる。ティルは兎も角。ライ君が、珍しい。

ていうか。いけにえって。行け煮絵?池にえ。生け贄?

「!生贄駄目―!」

『黙れ』

声を荒げちゃった僕の両頬を、二つの拳が挟んだ。おっきいのとちっちゃいの。

「あい」

ライ君が真面目すぎて恐いから黙ってます。恐くて口に出せないけど。

「はー。ったく。莫迦共が。

ま。これでいい加減懲りるだろ」

ライ君が見るも無残な街を見て、複雑な顔をした。久し振りに見るなぁ。ライ君の葛藤を交えた顔。お城での事話してくれて以来、かな。

「本当に。莫迦だよな。人間は」

呟くように言う。

「ライ君は莫迦じゃないよ。怖いけど」

あ。ライ君の耳赤くなった。いつの間にか太陽無いし。寒いからかな。

「俺。今初めてお前が鈍で良かったと、心底思うよ」

?褒められた。

呆れたと思ったら、苦笑いしてるし。

「行こう?僕もうひと頑張りするよ」

ライ君の袖を引っ張って促してみる。

「良いのか?人間側の味方で。お前エルフだろ?今回の場合魔物の味方を」

また、真面目顔。

「関係ないよ。ライ君の仲間なら、僕助けたい」

「そうか。

お前馬鹿だけど、意志は強えよな」

褒められたのか、貶されたのか。どっちだろう。褒められたって事にして良いのかな。

ライ君笑ってるし。褒められたって事で!嬉しい!褒められた!

「まあ。それはそれとして」

?何だろう。ライ君、すんごくニッコリ笑ってるけど。何で僕逃げ腰になってるんだろう?急にライ君が怖く感じてる。何でライ君ハリセン(しかも心なしかちょっと硬そう)を持ってるんだろう。

ずばん!

「怖いは余計だ!」

音と声が重なった。

痛い(泣)。もう忘れてた事で、怒らなくてもぉ。しくしく。ライ君て、根に持つタイプだよねぇ。

「これで懲りたろうし、今回だけ助けてやるか。魔物が街に近寄らなくなる位」

ライ君がニンマリ笑う。良からぬ事を企む顔ってやつだ。

「ド派手にな」

じゃなくて、覚悟の顔です。

ライ君が睨むから、つい思い直しちゃったよ。僕、ライ君のこの睨みで魔物近寄らなくなると思う。背筋が『キン!』って冷たくなるもん。

「ティル平気?」

「も、絶好調よ。トニーこそ、ヘマやらない様にね」

やんないもん。

ぷう。って僕が頬を膨らましたら、ティルは笑って、そして街を見た。

魔物達は壊すだけ壊して、ちょっと気が済んだみたい。今はそんなに暴れてない。

「ほっといた方が、難しい事になんない気がする」

僕がぽそっと言ってみると、ライ君が難しい顔をした。

「ほっといたら魔物共は居つく。

あいつ等はそれを良しとしないだろう」

「ふぅん。人間て我が儘だね」

街の皆を見ると、少しごたついてるみたい。領主さんが暴れてる。

「人間全てがそういう訳じゃねぇよ。あいつ等がそうなだけ」

それは解ってる。ルック君我が儘言った事無いもん。ライ君は我が儘放題だけど。

「うん」

取り敢えず僕はそれだけ言った。

あ。領主さん逃げた。アークさん捕まえた。リアさん電撃放った。領主さん動かなくなった。あ。そうでもないや。領主さんピクピクしてる。

「時間掛かりそうだね」

「そうだな」

「そうね」

「・・・」

ルック君は黙って頷いた。

「もちょっと此処で休めそうだね」

「そうだな」

「そうね」

「・・・」

ルック君が果物を出した。そういえば、何も食べてなかったや。

僕達はご飯を食べながら、街の皆を見る事にした。

牛肉の薫製を食べている時に領主さんが起きた。他に縛られてた人達が縄を断ち切った。一般の人が持っていた武器を奪ってアークさんとリアさんに向かった時には、僕は桑の実を食べてた。アークさんが武器を掴んで武器ごと投げ飛ばした。

「馬鹿力だね」

「馬鹿力だな」

「馬鹿力ね」

「・・・」

ルック君の無言の頷き。

「動きが荒いな。攻撃受けてやがる」

あ。本当だ。血が出てる。

「もう大分暗いから見ずれえな」

「人間の目って不便だね」

「エルフは良いよな。昼夜問わず見えるからな」

「千龍眼」

「お。悪いな」

僕が今使ったのは、千里眼の様なもの。遠くの物が良く見える様になるんだ。

あ。リアさん囲まれてる。状況を理解すると同時に閃光が放った。リアさんの術なのは一目瞭然。目が眩んでる隙に、アークさんが叩きのめす。良い連携だ。先生は出来の良い生徒を持って嬉しいです。

「リア、大分魔法の扱い上手くなったな」

「うん。飲み込みが凄く良いんだよ」

自慢げに言っちゃう位ね。

今度は生贄の人をグルグルに縛り上げる。これで逃げれなくなった訳だけど、どうやって連れてく気かな?

あ。手近な木を風魔法で切り始めた。

「やっぱり家作るのかな?」

「お前・・・。本気で言ってんのか?」

「え?うん」

なぜか心の底から呆れるライ君。

「さっきの礼だ。殴りはしねー。けど違うからな。ありゃ荷車作ってんだ」

ライ君の言う通り、タイヤらしき物が見える。

「やっぱり時間掛かるね」

「掛かるな」

「掛かるわね」

「・・・」

ルック君は厭きたのか、夜空を見ながらお茶を啜ってる。

荷車作りをしている間、僕はライ君に剣術を教わった。剣で枝を綺麗に切れる様になった頃、荷車が出来た。

荷車に、生贄の人を転がし容れる。

生贄の人を連れて街に入る頃には、月は西に傾いていた。

入口の開けている所に、生贄の人を荷車から転がし落とす。

「ちょっと、転がるの楽しいかも」

「転がってみるか?」

「けっこうです(汗)」

ちょっと思ってみただけなのに、本気でやろうとしているライ君。手に縄があるのを見て、冷や汗出ちゃった。

街では、アークさんが何か叫び始めた。

「貴方方を苦しめた者達を差し出します。お怒りを鎮め、森へお帰り下さい」

ライ君が教えてくれる。読唇術だ。

「ライ君ありがと」

「ふん。エルフの無駄に長い耳。お前が持つと本当に無駄だよな」

うう。どうせ僕の耳は人間並みにしか聞こえませんよぉ。普通のエルフは数キロ離れた音も聞こえるのに。龍の声を聞いてる内に遠くなっちゃったんだもん。

ライ君にそう言おうとして、当のライ君に制される。生贄の人を置いて、離れる皆を指して。

僕はふて腐れながらライ君に続いて、街へ向かった。

『むー!むがー!もごー!』

街では生贄の人が魔物に囲まれていた。

僕が助けようと空に字を書こうとしたら、ライ君に止められた。

「まだ早い。助けんのはあいつ等が気絶してからだ」

耳打ちされた。ちょっとこちょばゆい。

「でもあのままじゃ、ほんとに死んじゃうよぅ」

小声で返す。耳打ちされない様に耳を押さえながら。だって、耳打ちって腰がゾクッてするんだもん。

「ティルが防護壁張ってる」

ティルを見ると頷いてくれた。

安心して生贄の人が気絶するのを待つ。

『むぎょぉぉぉぉぉぉぉ~!!!』

口を塞がれた生贄の人が、叫びになりきらない叫びをあげて、気絶した。

別に襲われた訳じゃないのに。ちょっと、僕が枝を踏んじゃって、音がしただけなんだけど・・・。同時に魔物の牙が、爪が、生贄の人に襲い掛かる。

全員気絶したのを確認したライ君が、魔物の群れに突っ込んだ。生贄の人に当たるところだった爪を剣で受け止める。けど、ライ君は一人。剣も一つ。魔物はいっぱい。群れですから。剣で防げなかった牙が、領主さんに噛み付いた。

・・・。ていうか。今の、ライ君ワザと助けなかった様に見えるんだけど・・・。

防護壁張ってるからって、怪我しない訳じゃないんだけど。打たれ強くなるだけで。

「絶龍界!」

ほっとくと、領主さん重症になっちゃいそうで、生贄の人達に結界を張ってあげる。

それを見たライ君があから様に、「ちっ!」って舌打ちした。

ライ君・・・。領主さん助けるために来たんでしょぉ(汗)。

「本人目の前にすると、毒づかないではいられないのね。ライ」

ティルが僕の耳元で呟く。

難儀な性格だねぇ、ライ君は。本当に見方で良かった。・・・良かった?

不意に、これまでライ君に叩かれていた記憶が、走馬灯の様に頭に流れた。

「良かったのかなぁ?」

自然。目に涙が浮かび、遠い目になる。

「自業自得でしか、叩かれて無いでしょ」

ティルが言う。

「っていうか。読心術?読心術なの?」

呆れ顔で僕を見るティルが、おっきく溜め息した。

「何十年トニーといると思ってるのよ。それ位、察せるの。トニーと違って」

そっか。読心術じゃなかったのか。

「つーかお前ら戦えー!」

ライ君が怒鳴った。見ると大分魔物が減ってた。結界の中にいたから気づかなかったよ。

「えっと、じゃあ。

爆龍激旋波!」

空に【爆】って書いて、術を発動させる。

鋭い旋風が十数匹の魔物を切り刻み、切った所が爆発してく。これで六匹が倒れ、残りが重体で動きが鈍る。それをライ君が止めを刺す。

「うっし。街の中心近くまで突っ切るぞ」

ライ君が駆け出す。横から魔物が来たけど、ライ君の横一閃で胴を断たれて倒れる。

走って行く先から、横から、後ろから、魔物達が襲い掛かる。

前から来る魔物は先を行くライ君が倒して行く。見事に急所を切って行く様は流石で、経験の多さが見るだけで分かる。

横から来る魔物は僕が龍術と龍魔剣で倒す。近くの魔物は剣で倒しつつなるたけ、派手な術を択びながら使う。僕の苦手分野だから、ティルが横から使う術を言ってくる。

「爆双龍撃」

言われた通り、空に【爆】と書いて術を発動させる。

「爆双龍撃!」

両掌から龍の形の力の塊が、勢い良く出て、それぞれの方向へ向かう。狙い違わず、左右に居た魔物に巻き付き、大爆発する。爆風が起こり後ろから来た魔物を襲う。瓦礫も舞ったお蔭で、後ろの魔物の足を鈍らせる。もちろん、僕達は走る足を止めないから爆風にも当たらず、どんどん魔物と距離が離れる。ティルの思惑通り、今の大爆発を見た魔物が襲い掛かる事に戸惑いを見せる。

それにしてもやっぱり武器って使いづらいなぁ。龍術士として使いこなしたかったけど・・・もともと武器を使わないから無理だったかも(落)。

「ルックは良いわよね~。空から高みの見物で」

ティルがルック君を見てぶつぶつ文句を言い出した。

ルック君の召喚獣のイック君は、まだ体が癒えていないから戦闘には出せない。だからニック君に乗って、地上の様子を監視してもらってるんだ。

「ティルもルック君といて良いんだよ?」

二発目の爆双龍撃を放ちつつ、ティルに言う。けどティルは、眉根を跡が残るんじゃないかって位顰めて、口をアングリと開ける。

「え?あの。ティルって・・・ルック君嫌いなの?」

更に三発目を放ちつつ言う。それに、大きな溜息をつくティル。

「ぶわぁか!」

「え。あのティル?」

「ルックはもちろん好きよ。旅仲間だもの。

そうじゃなくて、あなたを置いて行く事に眉を顰めたの」

そんなに心配してくれてるんだぁ。すっごく感動だよぉ。あぁ、目頭が熱くなるぅ。

「あなた一人に任せたら、計画が台無しになる確率が高いのよ」

ごめんなさい。馬鹿で。あぁ、目に違う意味の涙が・・・(泣)。

涙で視界がぼやけながらも、四発目を放つ。

「言ってる傍から同じ術しか使わない」

ティルが心の底から呆れているのが分かる。ティルが痛いほどの気持ちを僕にぶつけてくるから。

魔物が大爆発に慣れた頃、小気味良い『バキン』って音がライ君の方からした。

「ライ君?」

ライ君の方を見ると折れた剣を見て呆けていた。勿論魔物はライ君の事情なんて気にする事無く襲いかかってくる。それを僕が龍魔剣で斬り伏せる。

「どうしたの?ライ君が剣折るなんて珍しい」

僕が近くの魔物とライ君に気を取られている間、ティルが代わりに魔法で他の魔物を牽制してくれる。

「刃の材質が脆くなってやがる」

「え?あの魔物にそんな力無いけど」

「ああ。魔物に加担してるか、事の元凶かが近くに居やがんだろ」

使えなくなった剣を近づく魔物に投げつけ悪態を吐く。

「じゃあ何かの術だね。そしたら僕の剣を使うと良いよ。強い力が込められてるからその力効かないし」

言って僕の剣を渡し、ライ君は受取り様に近づく魔物達を斬り伏せる。

「よし。貰ってやる」

ニヤッと笑って、鞘も受け取る。

「あげるんじゃないよぉ!?貸すだけだだよっ!」

今は使いこなせなくても、龍術士の剣だかしそう簡単に人にあげらんないよっ!

僕の真剣な慌てっぷりに納得してくれたのかくれないのか、面白くなさそうな顔をして「っち。ケチくせー」って舌打ちする。

ていうかこれあげるのこっちはすんごい損失なんだけどぉ・・・。それに龍術士の剣は同じ龍術士が一番力を使いこなせるものだし・・・。そりゃ、今はてんでダメだけどぉ(泣)。

「ていうかっ、いい加減戦闘に戻って~!」

魔物の牽制に四苦八苦していたティルの言葉に、忘れかけていた現状を思い出した僕は慌ててティルを見る。

「ティル!ごめんねっ。次の指示お願い!」

「電龍争波!」

 汗だくになるまで力を使っていたティルは直ぐに指示をくれる。ちょっと半泣きのティルって久しぶりに見たなぁ。

「電龍争波!」

空中に【電】と書き、放つ。巨大な電気の渦が波となって、僕が走り去った後に来た魔物達を襲う。黒い塊になった魔物から、風に乗って焦げた臭いが僕の鼻に伝わる。

「うし。村一つ分走ったな。

トニー!炎龍爆獄衝!」

「ええ!?でも街が!」

「面影なんてもう無いだろが!」

それもそうだね。

空中に、なるべく力強く【炎】と書く。意識を僕達以外のもの達に集中する。自然足が止まる。止まった僕達に魔物達が一気に襲い掛かる。ライ君が僕を守る形で魔物を切り伏せていく。ライ君が五体倒した時、力が最高潮に達した。

「炎龍爆獄衝!」

解放たれた炎龍の激しい炎が、溶岩と化した大地と共に、噴き上がる。僕達の周りには熱を遮断する壁が出来ている。けどまともに術に当たっているものは、一瞬で消し炭になる。瓦礫も、魔物も。

術が消える頃には更地になった大地には、僕達しかいない。

「うし。

んでまた中心に向かってダッシュ!」

ライ君がまた先頭切って走り出した。僕達もライ君に続いて走る。更地が終る頃にはまた魔物の群れが・・・。

・・・?

間。

更に間。

・・・来ない?

「魔物いないね」

「まあ。あれだけの力見せられちゃねぇ」

確かにあれって破壊力いいけど。それにしたってねぇ。敵討ちに、もちょっと攻めてきてもいいと思うんだけどなぁ。

「それにしたっていなさすぎだ。妙だな」

「うん。僕もそう思ったトコ」

「もしかして。私が感じてる違和感と関係あるのかしら」

ティルの言葉にライ君が急に立ち止まる。おかげで止まり損ねた僕は、バランス崩して転んじゃった。

「ライ君急に止まんないでよぉ。勢いある物は急には止まれないんだよぉ?」

唇を尖らして文句を言う僕を見て、

「俺は止まれたがな」

と鼻で笑う・・・。

「ライ君が異常なんだよ」

不服顔で立ち上がって汚れを落としてる僕に、足払いを掛けるライ君。ヒドイ。せっかく汚れ落としたのに・・・(泣)。

「で、どういう事だ?ティル」

ティルを見て真面目な顔して問う。

「どういうっていうか。実はこの感じ、ドフィルの洞窟でも感じたんだけど」

「ああ。あの魔物のねー。」

口調が腹話術だ。あれを思い出すと虚しくなるの分かるけど。

「うん。あの魔物の。」

ティルまで腹話術口調で、遠くを見て言う。でもすぐ、真面目顔に戻る。

「何て言うか。空気がね。嫌悪感や動揺感で満ちているのよね」

「それって、このザワッてしてぐにゅぐにゅってする、この感じの事?」

身振り付きの説明に、なぜか二人は渋い顔をする。そしてなぜか二人でヒソヒソ話する。

「分かり難かった?」

「話を戻そう」

ごほんと咳払い一つして、おもむろに言うライ君。話し逸らしてないんだけどなぁ。

「で。その空気に人為的な力を感じる事があるの。ほんのちょっとだけなんだけど」

深刻な顔になる二人。僕も二人に合わせて深刻顔を作る。

「成る程。さっきの俺の剣の事といい、何か不穏な事に首突っ込んじまった様だな」

「まったくね。

兎に角、一度ルックに状況聞きましょ」

三人揃って上を見る。しかし満天の星空の何所にも、ルック君はいなかった。

「どうしたのかしら。急に居なくなるなんて、そんな事する子じゃないのに」

「僕捜してみる。―翔龍壁」

一気に上昇して、ルック君が飛んでた辺りを大きく回って捜してみる。でもルック君は居なくて。

『待てやこん畜生!』

代わりに、遠くの方からルック君の罵倒が聞こえた。

「今の(汗)」

僕は急いでティルとライ君の元へ戻った。

「今!ルック君の罵倒が!」

罵倒のした方を指して大急ぎで伝える。

それにまともに顔を変える二人。

「なにぃルックが罵倒だとー!?」

「何ですって!?ルックが罵倒してるなんて!それって」

『キレてる』

そこだけはもって、

「よ!」

「じゃねーか!」

「って事じゃない!」

口々に叫ぶ。凄い。こんなにはもれるなんて、僕達の仲の良さは一級だね(喜)。

て、喜んでる場合じゃなかった!

ライ君の腰をしっかり掴んで、声のした方に最速で向かう。ティルは僕の一つに結んだ髪にしっかり摑まっている。この速さじゃティルは追いつけないから。

飛んでる先の地平線では、空が白くなり始めた。目を凝らしつつ、差の縮まらないルック君の罵倒を追っている僕達は、追いつけない事に苛立ち始めた。

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