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旅への手順  作者: 蒼穹月
11/22

-7-

「うへー。噂には聞いてたが、んとに多いな。食いモンに群がる蟻みてーだ」

僕に抱えられてライ君は、感想を言った。

確かに街っていう餌に群がる、魔物(アリ)って感じだなぁ。

アークさんとリアさんを見ると、顔面蒼白になってる。無理ないけど・・・。

だってその数は半端無いんだもん。街の見える範囲より多いんだから。

「情報どうりだね。広場らしい所に魔物の子供が大量虐殺されてる」

「ふん。莫迦らしい。こういうのを自業自得っつうんだ」

「同情の余地無しね」

僕達の尤もな意見に、二人は非難の目を向ける。

「魔物は百害あって一利なし!倒して何が悪いんです!」

ルック君を揺さぶる。いいなぁ。楽しそう。

「自分の命に関わればな」

「関わるでしょう!?魔物は人を襲う!」

言ってるのはライ君なのに、ルック君に詰め寄る。面白い人だなぁ。

「お腹が空いていたり、自分の身に危険を感じたらね」

僕が当然そうに言うのが、気に入らなかったらしく、

「馬鹿は黙ってろ!」

と言う。

「馬鹿はテメェ等だ。トニーは、当たり前の事を言ってるにすぎねぇよ。

トニーも馬鹿にされたぐらいでいちいち黙んな」

「・・・うん」

でも、堪えるよ。エルフの里を思い出して。

「街の中に入ってまで襲うなんて、今回みたいに理由が無い限り、無いのよ」

「ミッシーの村とか!」

ミッシーの村って、二十年位前に魔物によって滅ぼされたとされる村?

「あれってご飯を求めて村に下りたら、村の人達に攻撃されて、仲間を殺されて怒った魔物が暴れたんだよね」

僕はエルフだからその頃には、すでに物心あったから覚えてる。

「そうそう。わざわざ襲うの、人同様の知識を持った生き物だけよ」

僕達に、当然そうに見つめられ、二人は言葉に詰まった。

「まあ、俺達はともかく、トニー(こいつ)に諭されるのは納得行かないだろうが、これは旅人なら常識的なことだ」

ああ!人を指差しちゃいけないのに!

「とにかく。領主に会うわよ」

僕達は、人々が集まってるらしい、中央街の大きな建物に入った。ライ君が言うには、ここは領主の館だって。

元は立派な物だったんだろうけど、何だか今は錆びれて見える。

「うらっ。領主ントコ連れてきやがれ」

「な!なんて尊大な!領主様に謁見賜ろうと言うのに!」

アークさん。ライ君は何時だって尊大だよ。

ずがん!

ライ君に頭蹴られた(泣)。

「いったーい!

何すんのさ!ライ君酷い!」

「うるせー。何か頭にきたんだよ。

テメー。ムカつく事考えなかったか?」

「え・・・考えてないよ?」

「ほぉぉう」

ずごん!

踵落としされた。しくしく(泣)。

「ちょっとあんた達。街の人が何時会話に入ったものか困ってるわよ」

気付いたら、皆の視線が・・・。

僕の顔変かな~?

「あの・・・。

街を救いに来て下さった方ですか?」

ガッシリした体系の、ちょっと偉そうなおじさんが、一歩前に出て口を開いた。

「さあな。領主は何処だ」

またも尊大に、ずいっと前に出て言う。

「私がそうだが」

ちょっと偉そうなおじさんが、ごほんと咳を一つして、ライ君に負けじと、凄く偉そうにずいっと前に出て言った。

「風邪ひいてるのに無理して」

僕がボソッと言ったら、横からティルが、「違うから」と言った。

「ふん。お前じゃねぇな。

ここの領主とは、すっげぇ嫌だが、顔見知りでね。領主が代わったとも聞いてねえし。そういう人試しは効かねえよ」

「な。領主様と知り合い!?

嘘でしょう!こんな不精で礼儀の欠片も無い様な奴が!」

ああ!だから指差しちゃ駄目だってば!しかもそんな力の限り思いっきり・・・。

うわっ!ライ君が恐くなってる!

「あ-く?()すぞ?マジで」

「あのねっ、あのね?

僕達みたいな旅人は、王様とかと面識あっても可笑しくないんだよ?人柄によれば」

「じゃあ、あんたもここの領主様と面識あるのか」

「ううん。僕とティルは無い」

「は?」

僕のあっさりした否定に、不思議がる二人。

「えっと。ルック君は?」

頭を横に振るルック君。

「ルック君も無いみたい」

「じゃあ、何でこいつだけ・・・」

「さあ?」

傾げる僕のこめかみを、ライ君が拳でグリグリする。凄く痛い(泣)。

「俺様の自己紹介を忘れ去るたぁ、良い度胸だな。とにー?」

そんな昔の事言われたってー(泣)。

「おらっ。領主んとこ行くぞ」

グリグリしながら、奥に向かう。引っ張られてなお痛い(号泣)。

領主さんの部屋に入った僕達は、先ず一番初めに・・・、


大いに笑い転げた。

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