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両者の想い


黒い鬼は単眼の巨人を翻弄しているかの様に、素早く巨人へと攻撃を重ねていた。黒い鬼の拳が単眼の巨人に触れるたび、巨人は叫び声を上げながらも肉を抉られていく。



「間違いない……モンスターと戦っているんだ……」


「蓮志さんっ!あそこ!」



アリサは突然声を上げ室内の一角を指差していた。アリサが指差す方へと視線を向けると、そこには傷つき地面へと倒れ込んでいる数人の姿があった。


全員が黒のボディースーツを着ており、武装している事から。明らかに俺達のような民間人ではない事が一目で理解できてしまう。SAT……いや、腰に装備する刀は明らかに俺が知っている特殊部隊のモノではないだろう。



「どうする……このまま見過ごす訳にはいかないよな……」


「巨人と戦ってる黒い鬼はあの人達の仲間ってことでいいのよね……?」



状況から判断して恐らくは仲間で間違いはないだろう。最悪違ったとしても巨人と黒鬼が戦っている今なら、あの人達を救出する事ができそうだ。



「戦闘をしている今なら、怪我人を安全な場所まで運ぶ事ができるかもしれない」


「そうねっ。見捨て帰るなんて出来ないよね。」



俺は尾崎さんとかおりちゃんへとここで待つように伝えると直ぐに、アリサと共に開かれた扉の内部へと駆け出したのだった。戦況は黒鬼が有利に思えた、単眼の巨人の注意が黒鬼へと向けられている今ならきっと大丈夫だ……


倒れこむ人達はかなりの傷を負っていた。単眼の巨人との激しい戦闘があったのだろう。ある程度見渡すだけでも重症の人も何名かいる、早く治療しなければかなりヤバイ状況だった。



「大丈夫ですか……扉の外に移動します。捕まって下さい」


「民間人がどうしてここに……!?早く逃げなさいっ!私達は大丈夫ですから……うっ……」



どう見ても俺やアリサと年齢が変わらない女性は、俺の存在に気がつくとそう言うのだった。俺は無理矢理数名を抱え上げると、扉の外へと有無を言わさずに運んでいく。



「話は後です!今は少しでも安全な場所に移動しましょう!」



何度か隙を伺いながらも全ての怪我人を運んだ俺達は、全員扉の外へと移動する事に成功した。俺は事前に空間ボックス内からポーションを取り出しており、全員に配布していくと、怪我をしていた数名の怪訝な視線を感じる。民間人だと思われている俺がポーションを渡したんだ。そりゃそうなるよな……



「君達はいったい……いや、今は好意に甘えさせて頂くとしよう。全員直ぐに態勢を整えるぞ!」



傷付くメンバーへと声を上げた女性は、ポーションを一口で飲むと俺達へと頭を下げていた。とても美しく凛とした態度はメンバーを纏める上官だろうか?日本人には見られない緑色の瞳を俺に向け、彼女は申し訳無さそうに言葉を放ったのだった。



「……本多 蓮志君、椎名 アリサさん、尾崎 美琴さん、山瀬 かおりさん……申し訳ないがステータスを拝見させてもらった。本当にすまない。」


「……スキルですか?」



彼女はコクリと頷く。俺達は彼女にどこまで見られたんだ……。彼女達は一体何者で、何を目的としている? 俺は必死に頭をフル回転させていた。



「あなた達は一体何者なんですか?それに、あの巨人と戦っている、黒い鬼も仲間……ですか?」


「助けてもらってすまないが……今はまだ言えない。が、いずれ私達の正体は明らかになるだろう。それと、たい……黒い鬼は間違いなく我々の仲間だ。」



今は言えない?何かの権力が働いているのか……。だとしたら、俺達の素性が知れるのは色々とマズイかも知れない。



「わかりました……リーナ.ラズベルさん」


「……!!いいだろう……君達の事は他言しない。ただし、交換条件として我々に協力してもらいたい。」



よし……とりあえず成功だろう。俺は魔眼によりこの女性のステータスを見ていた。今は言えないと言う事から、秘密裏に活動しているであろう彼女達は闇雲に情報をばら撒かれ、公表されるわけにはいかない。この人が頭のキレる人でよかった。



「条件によりますね。それにあなた方は俺達の協力なくしては危険な状態なんですよね。優先権があるのは俺達の方じゃないですか?」


「……ふ。君はどうやらかなりのキレ者のようだな。いいだろう、君の条件を飲もう……そのかわりどうか今は力を貸してくれないだろうか。」



彼女は焦っていたのか、少し口早に俺へと喋っていく。黒鬼の力は強力だが、現在黒鬼へとなった使用者は、力に飲まれてしまい暴走してしまっている事。暴走を止めるにはMPが底をつくまで時間稼ぎをするか、もしくは気絶させてしまうかの選択肢しかないと言う状況だ。


最後に彼女が言った言葉に疑問を感じたが、単眼の巨人は更に強力な力を秘めている可能性があると言うモノだった……



「俺達にとってデメリットだけだろ!」


「そうだな。悪いが……私より強い君にしか可能性がないんだ。」


「断る。あなた方の為に死ぬ事は出来ない!」


「そうか……残念だがしかたあるまい……【プリズン】!!」



突然彼女から発せられた殺気を感じた俺は3人に叫んでいた……



「みんな逃げろぉっっ!!」


「逃げてっ!2人ともっ!!」


「れ、蓮志さんっ!」


「きゃぁっっ!!」



俺の叫び声にアリサは咄嗟に後方へと距離をとっていく。しかし反応が遅れてしまった尾崎さんとかおりちゃんは突然光に包まれてしまうのだった……くそっ!遅かったか!



「私にはこの方法しか思いつかないんだ。本当にすまない……2人を助けたければすぐに行動するんだ!」


「ぐ……アリサすまない……2人を頼む。俺が無理なら黒鬼を止めるのは不可能だろ……その時は2人を解放してやってくれ……」


「……いいだろう、約束しよう。」



俺は仮設ログポイントを使用しアリサへと頷く。アリサは俺へと走り寄ろうとしていたが、俺はアリサへと首を振りアリサを止める。


2人を人質に取られた以上やるしかない。俺は扉の中へと歩き出していた……やるしかないだろうが!






【blood mode】そう呟いた俺の体は怒りや殺意と共に、紅い鬼へと変貌していく……




「ガァアァァァァッッ!!」




俺の戦いが始まる……









両者の想い編如何でしたでしょうか?


黒き鬼を思う彼女と、仲間を思う蓮志。

双方の気持ちが交差したお話しとなりました。


さてさて、今後どの様なストーリーになるのか気になりますね汗



明日11/2日も更新予定ですので、良ければお読み頂きたく思います!



是非興味ある方はブクマや評価をして頂ければとても嬉しいです!


それではまたお会い致しましょう!



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