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お化けのダンジョン


学校へと向かっていた時だった。既に聴き慣れてしまった音声が俺の脳裏に響いた。どうやら間違いではなかったようだな……





ダンジョンを発見しました。





聞こえた声に、俺はすぐに限定スキルの【地図】でダンジョンを確認していく。【地図】は半径20㎞圏内にあるダンジョンを通知してくれるチートスキルだ。その他にも俺が一度通った道やダンジョン内の道すら自動マッピングしてくれると言う性能がある。



可視化された地図の上には、やはり赤く点滅するマークがあったのだ。トンネルを抜けた先にダンジョンがあるようで、尾崎さん達の学校から歩いて行ける距離となる。



「アリサ!ダンジョンを発見した。この先は2人で向かうぞ!」


「了解です。地図だとこの先のトンネルを抜けた先みたいね……ん〜、できれば見つけたくなかったよねぇ。」


「あぁ。でも、学校の近くだからこのまま見過ごす訳にはいかないよな」



アリサは俺とパティーを組んでいる事によって、可視化された地図を見る事が出来るようになっていた。少し離れた場所から俺達を眺めている尾崎さんとかおりちゃんには、何もない空間を指差しながら話をしている不思議な光景に見えてしまっただろう。



「尾崎さん、かおりちゃん!道案内はここまでで大丈夫だよ。どうやらこの先は俺達の出番らしい」


「蓮志さんの出番……じゃ、じゃあやっぱりトンネルの向こうには、動画の中みたいなお化けがいるって事ですかっ!?」



俺はかおりちゃんの言葉に頷くと、アリサと2人で廃トンネルへと歩き出した。尾崎さん達には悪いが、ここからは2人には危険すぎる。



「ま、待ってくだいっ!私は。私も……戦えます!連れて行ってもらえませんかっ!?」


「か、かおりが行くなら私も行きます!蓮志さんが連れて行ってくれないなら。かおりと2人でも向かいます!」



これは参った……予想外の展開に困惑してしまう。アリサに助けを求めるも、肩を軽く上げ俺に全権を委ねる仕草をする……どうする。このまま連れて行かなければ、尾崎さんの口ぶりだと2人でも後を追ってきそうだ。ならば、一緒に行動した方がいくらかは安心だろう。



「俺とアリサの言う事を守る事。決して無理はしない事。守れるかい?」



かおりと尾崎さんはお互いに見つめ合うと、その場で飛び跳ね喜んだのだった。俺は複雑な気持ちだったが、2人を見捨てるなんて出来るわけがない。


ステータス画面を確認しながら、表示されている文字を見つけ困惑してしまった。まさか2人にもこのシステムが有効だとは思わなかったからだ……



「もう一度確認するけどホントにいいんだね?」



2人に迷いは感じられず力強く頷く。俺も同じように頷くと、アリサの時とは違ったステータス画面に表記されている文字をタップしたのだった。違っていた文字とは……





尾崎 美琴をパーティーに加入させました。


山瀬 かおりをパーティーに加入させました。




強制加入……どう言う意図があってこの様な強制的なシステムがあるのかはわからない。一般人は自身のステータス画面を見る事が出来ないはずだ。その意味は、尾崎さんとかおりちゃんはパーティーを抜ける事を自分の意思では出来ないと言う事だ。


突然の出来事に、尾崎さんとかおりちゃんの2人は辺りを見回していた。2人にも謎の声が聞こえたのだろう、俺は2人にシステムの説明をすると理解出来たのか、2人は落ち着きを取り戻して行く。



「尾崎さんとかおりちゃんに話した通り、この世界に異変が起きている。このシステムもその一つだ。これは見えるかい?」



可視化されたステータス画面を指差して2人へと問いかける。少し混乱しているように見えたが、返事をしようと必死に頷いたのだった。


…………


……



封鎖されたトンネルの先には、以前使われていた細い道路が山肌に面して続いていた。既にアスファルトは剥げてボロボロの状態だった。地図を確認しながらも歩き続けている時に俺達はついに発見した。



「あったぞ!今回は洞窟タイプのようだな」


「見た感じは岩盤の隙間よね。何とか大人1人が通れるぐらいなのかなぁ……」


「とりあえず俺が先に入ってダンジョン内部を確認する。アリサは辺りを警戒しておいてくれ、尾崎さんが言っていたモンスターがいるかもしれない」



俺は空間ボックスからアリサと自分の装備一式を取り出し、お互いに慣れた手つきで装着し終える。直ぐにランタンを握りしめダンジョン内部へと入るのだった。



…………


……



ダンジョン内部は広く倒木ダンジョンの様に光が灯っている。倒木ダンジョンとは違い、ダンジョンを構成している岩自体が光を放っているようだ。


一応撮影をしつつも辺りを確認するが、モンスターはいないようだった。俺は3人に危険がない事を知らせると、全員がダンジョン内へと揃った。



「此処がダンジョンなんですね。なんだか薄気味悪い。」


「尾崎さんの言うように、俺達は既にダンジョン内部に入っている。2人はアリサと俺の側から離れないでくれ。突然モンスターが現れるかもしれない」


「わ、わかりましたっ!」



倒木ダンジョンならモンスターが発生する場所を大体把握できるのだが、このダンジョンは俺にも未知の場所となる。とりあえず慎重に進み様子を見るしかないだろう。



「アリサ頼む」


「了解です。【シールドビート】!」



アリサの前方に巨大な大盾が作り出される。大盾は微かに音を放ちその存在感を誇示していた。



「「す、凄いっ……」」



尾崎さんとかおりちゃんは初めて見た光景に驚き声を上げていた。驚く2人を尻目に俺もアリサに続いて、空間ボックスからコンパウンドボウを取り出し戦闘態勢に入っていく。



「よし、始めるぞ!」


「うん。了解です!」



俺達はアリサを先頭にゆっくりと歩みを進めていく。前方に僅かだが気配を感じる……アリサも気がついているらしく、2人を庇うようにしっかりとポジションを移動するのだった。



「恐らく人型だ。尾崎さんの見たお化けかもしれないな」


「蓮志さん2人は任せておいてっ!」



俺はアリサへと頷き、コンパウンドボウのストリングを最大まで引きしぼっていくと、人型へと射角を微調整する。かおりは俺の動きを食い入る様に見ているようだった。


距離は約160m……大丈夫問題ない!


ストリングを離した瞬間、風切り音を響かせ遥か先のモンスターへと吸い込まれていく。人型は微かな声を上げていた。俺の脳裏に聞こえる声は放った矢が奴を捉えた事を知らせてくれるのだった。






キリングクロー LV2を倒しました。


尾崎 美琴のレベルが上がりました。


山瀬 かおりのレベルが上がりました。













お化けのダンジョン編如何でしたでしょうか?


パーティーシステムは一般人にも有効でした。蓮志が2人をパーティーへと強制加入させてモンスターを倒す事によって、美琴とかおりは遂に蓮志達と同じ世界に足を踏み入れてしまう事に……


今後ダンジョンやモンスターの活性化が進み、人間にとっては脅威となってしまうでしょう。


スキルやレベルの恩恵を受けていない人々は、モンスターの脅威に立ち向かう事が出来ずに、簡単に命を落としかねません……


パーティー強制加入システムは、そんな一般人を手助けするシステムなのかもしれませんね。



さてさて、新たなダンジョンへと踏み込んだ4人は今後どうなってしまうのでしょうか?



明日10/31日も更新予定です。

気になった方は是非お読み頂ければ嬉しく思います!


今後の展開が気になった方は是非、ブクマ、評価、レビューなどをして頂ければうれしいです!


それではまたお会い致しましょう!



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