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Destined Fate   作者: 瀬島 陸奥
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第3章 オルガルドへの準備


さて、目が覚めて着いた目的場所はテセリア国の最南東、オルガルド王国に最も近い都市ヴィクディだ。

オルガルド王国とも深く交流を持つ。そのせいか、オルガルドににている。

テセリアはガルバルスと友好関係にあたる一方で、オルガルド寄りの所もある。

テセリアは横に広い土地の国。オルガルドとガルバルスの北に隣接する。

そのため東西でガラッと変わったりするのだ。

街並みは古い時計塔が高くそびえる。

ゴーンゴーンゴーーン…。

14時の鐘の音。ここテセリアでは14時を基本とする。北国のためか少し日が長いからである。


テセリアからオルガルドへ渡る前に都合の悪いものは全て削除する準備がある。

ガルバルスから持ってきたもの全てだ。

ウィルが来ている服も、剣も、すべて。

その準備が必要なのだが、お金が無い。

ガルバルスからオルガルドへ向かうための金しか持ってきていないからだ。

いやウィルが生まれてこのかた、持っていた所持金がその位しか持っていなかったのだろう。

服屋の前で止まる。

「くそ…。これじゃ、前に進めない」

ウロウロする。服屋の前でぐるぐると回る。

ウロウロウロウロ。

ガルバルス城の中で半生を生きたためか、何をするかも分からない。

「いって!」

声のする方に顔を向ける。服屋の裏の路地からだ。そこには薪をわっているおじさんの姿が。

「あーあぁ。手痛めちまったよ、たく。おーい!ミアラ!ちったぁ手伝えよ!

ちぇ。呼んでも来やしねぇ」

1人騒がしい奴だ。そう思ったウィル。

去ろうと思った瞬間

「あ、君君!」

「?(自分に指を指すウィル)」

「そうだ君だよ、さっきの見てただろ?」

どうやらウィルが後ろに居たのを気づいていたようだ。

「手伝って欲しいんだよ、まきわり!」

なんて図々しい。

「ずっと長年薪割りやってきてよ、腕にガタがきちまったようでさ。代わりにやってほしいんだ」

「…報酬は?」

一瞬悩んだおじさん。お金を取るのかと言わんばかりに。

「1万だ。1万くれればやるよ」

ウィルの提示した1万。それは服代と宿代が含まれる。

(1万?薪割りで1万か、高くない?)

うーん、と悩ますおじさん。

うーーーーーん

うーーーーん

うーーーん…

「1万…手ぇ打った!」

「よし、決まりだ」


パコーン…パコーン…パコーン…パコーン…


どのくらいの時間に響き渡っただろう。

薪割りが完了した。

すると、ドタドタドッタ!バーン!

勢いよく裏のドアが開いた。

「るっせーぞ!じじぃ!」

15歳くらいの少女が現れた。

「よく眠れねーじゃんか!」

「ミアラ!父さん、薪割りすぎて腕痛めたんだぞ!お前を呼んでも来ないから、この人に頼んだんだ!」

ミアラと呼ばれた少女はウィルを見る。

そして、自分の身なりを気にしだし、

「ちょっ!こんなイケメン居るなら居るって言ってよ!寝巻きで来ちゃったじゃない!」

恥ずかしがると、素早く中に入り2階に上がっていった。

嵐のような親子だ。ウィルはそう思った。

「親子、かぁ…」

感慨深くなっていると

「じゃあ、君。手伝ってくれたお礼だ。この中に入ってくれ。おもてなしをしよう」

おじさんはさっきミアラが出入りした扉を開けた。急がなきゃ行けないのに、とは思ったもののお金をまだ貰っていない。

仕方がなくおもてなしをされる。

中に入るとカウンター、酒樽、酒瓶、テーブルがいくつか。ただ人気がない。

「俺ん家は酒屋を経営しててな。見ての通りガランガランだ。2階が家になっている。俺とさっきのジャジャ馬が住んでいるのさ」

母親は、と聞こうとしたがそれはやめた。

「おっと、名前を聞いてなかったな。俺はドルジェだ」

「ウィルだ」

互いの名前を名乗りあった所で、おじさんがレジからお金を″しぶしぶ″取り出す。

「あー、1万なんて大金だぞぉ。この店じゃ1日売上がいくらも行かないからな」

そしてウィルに差し出す。

バーーーン!2階の扉が開く。

「いらっしゃいませぇー!ささ、どうぞどうぞ!」

「ミアラ!なんだその格好は!」

ミアラの格好はメイド服にフリフリなフリルをボリューミーに着飾ったもの。

「えぇ、だってぇこのイケメンさんに気に入られたいんだもん」

クネクネと体をひねる。

「この方はウィルくんだ」

「ウィルくーん?名前は可愛いのね!

私ミアラよ、ヨロシクね〜」

よろしくされたくない。ウィルは少し迷惑そうだ。


ミアラが厨房に立ち、料理をもてなす。

「ミアラはああ見えて、料理は絶品なんだ。店は売れないけどな。

ウィルくんはこれから何処へ。1万なんてせしめるくらいだ。何かをするんだろう」

1万に未練があるらしい。

「オルガルドへ行く」

「オルガルドへ?だが、その格好じゃぁ厳しいだろうな」

ウィルはそのために服を買おうとしたが、

金が底を尽きたことを説明する。

「なるほどね。俺たちは元々オルガルド国民でな。オルガルドの事は詳しい。ミアラこっちへ来い」

ミアラを呼ぶと

「すぐ支度をしなさい。ウィルくんにオルガルドを案内しなさい」

「え、でも店が…」

想定外な内容に驚くウィル。

「俺は1人で大丈夫だ」

「店は大丈夫だ。ウィルくん、今のオルガルドは皆神経質になっている。下手な動きをすれば捕まることもある。地理に詳しいミアラを連れていった方が得策だ。私は店があるから行けないがな」

オルガルド…険しい道のりになりそうだ。


「今日はここで泊まりなさい。それと、私の服をあげよう。そのお金はとっておきなさい」

ウィルはこの時、違和感を感じた。

ウィルの昔に置いてきた感情がこみ上げてきたようだ。




「ありがとう…」

感謝という感情が出たのだ。


第3章が思ったより長くなりました。

第4章でオルガルドに渡ります。

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