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仮面と旅する別世界  作者: 楸 椿榎
ラスフロス編
98/123

第八十五片 久々の帰還

「…………」


 んん……。

 朝? なんか、布団の感じが違うような……。

 天井も、違う……。


「冬?」

「起きたのかい?」


 あれ、じいちゃんとばあちゃんの声がする。

 ……なんで、だ?

 あ。

 ベッドの横にいる。幻聴じゃない。


「冬が……冬が目を覚ました!」

「わ、私、先生を呼んできます!」

「よくやった! よく帰ってきたぞ冬!」


 ばあちゃんは病室を飛び出し、じいちゃんは俺を抱き締めた。

 何が何だか、よくわからなかった。


「異常はないようですね。これなら、明日中に退院できますよ」


 じいちゃんに話を聞いたところ、俺は一ヶ月もの間、気を失っていたのだという。

 二日間連続で学校を無断欠席した野薪先生が祖父母に連絡をとり、自宅で気絶している俺が発見されたのだという。


「いやぁほんと。一時はどうなるかと思ったぞ」

「ごめんよ、じいちゃん、ばあちゃん」

「あんたは謝らんでいいよ。それより、私らより先にあっちに行かんでよかったよ」


 そうさな、と相槌を打つじいちゃん。

 そうだ。

 二人はすでに、自分の息子を失っている。


「俺、生きるよ」

「ん? あったり前じゃ」

「ありがとうね、冬」


 あっはっは、と豪快に笑うじいちゃんに、つられて俺も笑った。


「検査はどれも異常なしです。よかったですね、清水さん」

「お世話をかけました」

「いえいえ、それでは」

「はい。失礼します」


 翌日、俺は無事に退院を果たし、久しぶりに我が家に帰ることとなった。 

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