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仮面と旅する別世界  作者: 楸 椿榎
第一章 変動編
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第三十三片 『同調』

 決闘が終わり、俺たちは謁見部屋に戻ってきていた。

「ガルムたちに聞いていた通り、なかなか強くなってきたね、冬君」

「それほどでも」

 本当に、あの強さを見せつけられると、俺なんてそれほどでもないと感じてしまう。

「こちらに来てから日も浅いのに、あそこまでできるのはすごいと思うよ」

「……はい」

「ハクとの同調率も、結構高いみたいだしね」

 ……ん?

「同調率?」

 何だそれは? 聞いたことがない言葉だ。

「そうか、そういえば言ってなかったね」

 レジルさんは一本指を立てて話し始めた。

「同調率というのは、“面族”と、契約人との親和率を表すものだよ。それが高いほど、二人は強い力を引き出せる。おそらくさっきの連射も、同調率の高さがあったからこそ成功した技だろう。あんな使い方、普通ありえないからね」

「そうなんですか」

 ここにきて、“面族”の話が真実になったな。

 つまり、契約を交わした直後はそれほど強くないが、同調率が高くなっていくうちに強くなる、と。

「これなら、あの任務を任せてもよさそうだ」

 レジルさんの口から、気になる言葉が出てきた。

「あの任務?」

「そう、君の実力を確かめた理由の一つでもある」

 ……。

「そういうことは、先に言ってくれませんかね?」

「先に言ったら、何かしらの手加減をされるかもしれないだろう?」

 口角を上げるレジルさんは実に楽しそうに見えた。

 俺が言いたかったのは、心構えができないじゃないかって話だったのだが。

 まあそういう懸念をするのも納得できるからこそ、反論できない。

「まだ昼前。時間もあるし、この流れで任務についてもらおうと思う」

 レジルさんは耳に手を当て、何かぶつぶつと話し出した。

 時折ジェスチャーを交えているが、通話相手に見えているのだろうか?

 何だか日本人みたいだな。

「同行者にも、ここに来るように伝えた。それまで、任務の概要を説明しよう」

 レジルさんの目が真剣みを帯びたのを見て、俺とユキの背筋が一層伸びた。

 今回の任務がこれまでとは違うものになると、直感した。

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