表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮面と旅する別世界  作者: 楸 椿榎
第一章 変動編
28/123

第二十七片 『温み』

「改めて、ハハル・リンクよ。よろしくね」

 謁見部屋を出てから、ハハルさんは微笑みと共に手を差し出してきた。

「清水冬と言います。こちらこそ、よろしくお願いします」

 俺も手を出すと、ハハルさんは優しく握った。

「あんまりかしこまらなくてもいいからね?」

 小さく首を傾げて言う彼女。

 そうは言われても、初対面で、しかも自分よりも目上の人に対してかしこまらないわけにはいかないだろう。

「……はい」

 そっちがいいというなら、俺はそうするのだが。

「まあ、いきなりというか、目上に対してはやりにくいかな?」

「…………」

 今、何て?

「冬君がそれがいいなら、構わないからね」

「……はい…………」

 押し付けのような感じのない、嫌みな感じのない言葉。

 恥ずかしそうに笑いながら手を放すハハルさんは、そのまま歩き出した。

「城の前に、もう馬車が着いてるはずだよ。行こう、冬君、ハク」

 返事をしてついていくユキに、俺も追随する。

 なんてことない、普通のことを言われただけなのに。

 手の温かさは、少しばかり残っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ