幕間 『情報』
アストリア大陸 ― 王都 ― 王城 ― 謁見部屋にて
夕暮れ。
「ぃやあ、久しぶりだなあ。レジル」
「椛。到着、というか、来るのがやけに遅かったな?」
「いいじゃないか。昨日の夜に到着こそすれ、そこで押しかけてはお前の体に障る。そして朝起きれば友からの頼みが来た。しばらく会っていない友の頼みだ、無下にはできんよ。それに昼時に押しかけては夜と同じく、君に迷惑をかける。だから、友を返した後に来たというわけさ」
「まあいいさ。お前の生き方はそういうものだから」
「国王からそう言っていただけると助かるねえ」
「……さて、話をしてくれ」
「……リツォンコーネの方は、『もう一人』と軍が頑張ってくれているから、自衛の面では今のところ問題は出ていないよ。ただ、裏を返せば自衛だけで今は手一杯ってところかな。相手に対する有効な対策手段が見いだせない限り、停滞は続くだろうねえ」
「そうか。やはりどこも似た様子になるものなのか」
「俺としては、フレアさんが作っている『アレ』の完成を心待ちにしているよ」
「……お前、どこでそれを知った?」
「おっと、当たりだったかい? フレアさんを見かけないから、鎌をかけてみたんだけど、どうやら勘は当たったようだねえ」
「……食えない奴だ」
「それより、こっちでは何をしているんだい?」
「大雑把に言えば、今の状況を大きく変えうるものを作っている」
「ほほう、それは楽しみだ」
「ただ、生産性が著しく低い。だから、そっちに派遣できるようになるのはもうしばらく後だと考えておいてくれ」
「いいよ。こちらもまだ困ってはいない。それに、うちにはいい『消費者』がいるからね」
「そうか。そうだな」
「そうだよ。……そろそろか。じゃあ、俺は行くよ」
「ああ、気をつけてな」
「レジルも、気を付けてね」
「おう」