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第百七片 なんだかな
「先生」
「なんだ?」
「なんであなたは、そこまで現世を良くしようと思ったんですか?」
「なんでかな。あっちの世界を救えたから、こっちも救いたいと思っちまったのかな」
「……それでこんなことになるなんて、先生バカですよ」
「お前よりは頭いいぞ」
「そうですね、俺もバカです」
「……まさか、お前に止められるとはな」
「俺だけじゃないですよ。俺に味方してくれたみんなに、先生が止められたんです」
「……なんだかなあ。お前の発想は、やっぱり俺と全然違う」
「そうですね」
「お前は、俺にどうしてもらいたい?」
「罪を償って、また俺の教師してくださいよ」
「今度はお前を殺すかもしれんぞ」
「そんなことしないでしょ、先生は」
「……なんだかなあ」
その瞬間、世界中の、ムー所属の魔物の破壊行動が止まった。
世界は、どうにか救われた、ということだ。