表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮面と旅する別世界  作者: 楸 椿榎
現世侵攻編
118/123

第百三片 師匠

 階を重ねていくと、また一人の男が立っていた。

 さっきの人と同じく、ラスフロスで会ったことがある人だ。名前は確か……。


「タッカ、さん」

「ほう、敵にさん付けするか」


 俺の方を一瞬見やったが、その目はすぐに俺の隣に動いた。


「まさかお前さんが来るとは思わなかったよ、ロターシュ」


 蓮は、まっすぐタッカさんを見据えて答えた。


「私もあんたと相対する日がまた来るなんて思わなかったよ、師匠」


『あの二人、師弟なのか』

『蓮はもともとムーの人間で、私の遊び相手としてアストリアに来たらしいです。確か、三歳くらいの時に。それからも、ちょくちょく帰ってはいました。タッカさんは体術の専門家ですから、蓮の技の師匠でしょうね』

『なるほど』


「俺は、クロアの手助けはしたい。しかし、お前たちと血を流して争いたくはない。こんなことを始めて何を勝手なことを、と思うかもしれないが、本心だ」

「それを信じろと?」

「春、師匠はこういうことで嘘は吐かねえよ」


 蓮は、タッカさんの人柄を信頼しているようだ。


「なら、どうするんだ? 遊びで決める。ってことでもないんだろ?」

「ああ、俺たちらしく、組手三本勝負で決めよう」

「……相手を組み伏せたら勝ち、か」

「ああ。ただし、相手はお前だ、蓮」

「……」

「おそらくこの中で体術はお前が一番だろう?」

「……そうだな、師匠に敵うとしたら、私しかいない」

「それでこそお前だ」


 二人とも、手出しは無用だ。

 そう言って、蓮は前に進み出た。


「私はアストリアでの訓練を欠かしたことがない。ストレート負けしても知らねえぜ?」

「口では何とでも言える。さあ、お前の成長を見せてみろ」


 戦いの火蓋は、静かに切られた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ