102 海士
分かりずらくてすみません…
「艦長の岩田一佐です。頑張ってください。」
礼式が終わると田中は居住区に案内をされた。居住区とは早い話が寝室である。
まずは護衛艦はたかぜの説明をしておこう。
護衛艦はたかぜとはミサイル護衛艦でイージス艦の前代の防空を担当している護衛艦である。乗組員は300名前後である。武装、5インチ単装速射砲2基 アスロック対潜ロケット8連発射機1基 ターターミサイルランチャー1基 CIWS20mm機関砲2基 3連装対潜単魚雷発射筒2基 これがはたかぜの武装である。レーダー等はイージス艦等は比べてかなり劣るがターターミサイルランチャーの対空ミサイルは今だに一線級の能力を持つ。
自分の寝床に荷物を置くと次に持ち場(仕事場)の艦橋に上った。艦橋とは船では最も高い所にあるいわば運転席である。護衛艦では唯一と言ってもおかしくない常に外が見える場所である。
艦橋の中に入ると蒸し暑い空気が立ち込めていた。
「失礼します!1等海士、三木 淳!護衛艦はたかぜ 乗り組みを命ぜられただいま着任いたしました!よろしくお願い致します!」敬礼をすると作業台に向かっていた小太りの青の作業服を着た男が敬礼をした。
「おう。ご苦労さん。信号長の今井曹長です。あ〜艦内では隊司令と艦長以外は省略だからな。後は竹中海曹に聞いてくれ。竹中!お前、教育係な。」そういうと海図に向かって何かを始めた。
「竹中三曹です。三木は1週間初任海士教育を受けてもらう。教育期間が終了したら航海科に戻って来てもらう。作業服に着替えて食堂に1300に集合だ。」
「分りました。」
初任海士教育とは部隊、艦船に配備となった海士に各部隊、艦船の必要な知識や行動、作業を覚えさせる教育である。
ついでにここで階級についても説明しておこう。階級は上下関係を明確にさせるものである。自衛隊は大まかに上から『将』『佐』『尉』『曹』『士』に別れている。細かくなるので数字は小さくなればなるほど位が高くなると考えると良い。
1130は食事の時間だ。竹中3曹が居住区に迎えに来て一緒に食堂に行った。今日は金曜日なのでカレーの日だ。かなり有名な話だが海上自衛隊では毎週金曜日はカレーなのである。なぜかと言うと出航してしまうと曜日は関係なくそれぞれの作業に就く為曜日感覚が失われてしまう。そのために金曜日をカレーとしているのだ。
「席に着いて食べる時は箸を持つ手以外は膝の上に手を置くんだぞ。席が狭いから隣の人に迷惑をかけないためだからね。」
そういうとかなり早いスピードでカレーを食べる。一般家庭などでこのような食べ方をしたら間違いなくない怒られるだろう…
「三木。サイドパイプを持って上甲板に来い。」
竹中3曹はそれだけ言うとタラップを上って行った。
サイドパイプとは停泊中に艦内放送と科業(部署)、分隊整列時の号令に使われる独特な高音を出す笛である。それぞれ笛の鳴らし方によって号令が違うのである。
新造ヘリ護衛艦ひゅうがが見たい今日この頃…