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魔術学園でのあれこれ  作者: あめ
第一章
6/41

アーサー視点です。

学生寮に入って直ぐは男女の共有スペースだ。丸テーブルやソファ、暖炉と中々居心地が良さそうだった。掲示板があり進入生の名簿と該当する部屋番号が書かれている紙が貼り出されていた。見てみると、俺たちは最上階の角部屋だった。

そして、ウンシルは男子寮、サラノーは女子寮だ。


よし、確認した。


男子寮へ続く扉を開ける。

回廊の後にまた扉があり開く。

不可解な山が中央にあった。多分魔術具の出来損ないだろうが、動物の置物などが薄気味悪さを際立たせている。その山を避けるように丸テーブルが並んでいた。丸テーブルの上も様々な工具や道具が無造作に置かれていた。


「色々と突っ込みどころ満載だな。」

「取り敢えず荷物を置きにいましょう。」


怪しげな山から出来るだけ避けながら奥の階段へ向かい最上階まで上る。


「他に部屋一緒の奴っているのか?」

「すみません、確認しておくべきでしたね。」

「国ごとにわかれてんのかな?」

「…まだわかりません。」


暫く無言が続き、とうとう4年間世話になる扉の前までやってきた。


「お前が開けよ。」

「主は従者を守るものです。」

「都合のいい時だけ持ち出しやがって。」


先ほどの気味の悪い山を見たせいだろうか、開けるのが躊躇われた。

意を決して扉を開く。

中はいたって普通だった。

2人には広すぎなくらいだ。

ドアを開けて直ぐまた出た丸テーブルとソファ、暖炉、その隣には小さな台所、向かいにはどでかい本棚があった。台所の隣と突き当たりに合わせて3つのドアがあった。それぞれ開くと全てにベッドと机がある。


「もう1人来るみたいだな。誰なんだろうな。」

「エクター公爵の次男がスコーラの学園に入ると聞きましたよ。」

「エクターか、世話になったな。ケイも入ったのか。」

「同郷を割り当てて頂く配慮があるといい…」


突然上の方からバタンっと何かが倒れる音が聞こえた。

2人で上を見上げる。


「どこから聞こえた?」

「確か窓際のドアに近い方かと、あっ。」

「どうした?」

「天井の板が少しずれています。」

「あ?何だって?侵入者か?」

「確かめます。」

「いや、俺も行く。」


マーリンと俺はノームの足を床から離し、シルフの足だけで立つ。無詠唱で浮き上がり板がずれた隙間から屋根裏へ顔を覗かせる。

屋根裏には何故か窓があり明るかった。

隅で何か黒い物が蠢いている。

2人してゴクリと呑み込む、

蠢いている物体は規則正しく動き出し、それを合図にまたバタンバタンと音がした。

音の正体はどこからともなく現れた床板が床に合わさっていく音だった。

俺たちの頭上からも床板が落ちてきたが、何故かあたらなかった。

そこだけくり抜かれていた。

床板が終わると、また蠢き物体は規則正しく動き出し、今度は机とベッドが上から落ちてきた。

蠢き物体はまだ蠢いている。


「堕ちたままだったんですかね。」


マーリンがポツリと言った。

俺と同じことを考えていた。

しょうがない。気味悪いが、


「おい、妖精墜ち!」


蠢いている。

息を吸い込み腹から声を出す。


「おい、妖精墜ち!」


ビクっと肩を跳ね、顔が見えた。

黒い髪が黒いローブと同化して塊に見えていたのだ。

受験の時は口元までローブで隠し瓶底眼鏡で顔がほとんど見えなかったが今日は眼鏡をしておらず、ローブも首元を隠していないので顔がよくみえた。遠目だが。

依然ボサボサな黒髪短髪だが、随分中性的な顔をしていた。黒い眼はマーリンと同じだが感じが違う。吸い込まれるような瞳だった。

肩には隣人を乗せているようだ。

隣人に好かれるのもわかる気がした。

暫し無言の時間が流れたが、


「えっと、部屋が一緒となっていたハルです。よろしくお願いします。勝手ながら屋根裏を使わせて頂くので、下の個室と共有スペース共に全部ご自由にお使い下さい。」


しゃべった。

向こうから話始めるとは思わなかった。


「全部って、いいのか?」

「はい。多分私がいない方が貴方方やりやすいでしょうし。」

「わかった、ではお言葉に甘えて。」

「え、お、おい待てよ。」


マーリンは下りてしまった。


「あ、なんか困ったことあったら言えよ。わかったな!」


妖精墜ちの返答を聞かず、下に下りる。


「お前、承諾すんの早すぎだろ。」

「いいんだ、心変わりされても困るしな。」

「お前、言葉…」

「あの妖精墜ちが掛けた魔法で屋根裏含め盗聴と侵入が出来なくなっている。多分屋根裏とこの部屋の間も同じ魔法が掛かっている。」

「よくわかったな。」

「魔法なら庇護下にある場合どんな魔法が掛かっているかわかる。この魔法なら信じられる。クリュアスの次男坊でなくて良かったよ。」


珍しくマーリンが言葉数が多い。

いつも気張ってくれてるからな。

段々とマーリンの眼は赤く、耳の先も尖り始めた。


「やっぱりその方が楽なのか?」

「当然だろ」

「それにしても、マーリンを安心させるとは。すごい奴なんじゃないか?」

「気になるな。」


同じタイミングで天井を見上げる。

いつの間にか、天井は完全に閉ざされていた。屋根裏とこの部屋に防音という名の盗聴防止魔法が掛けられていることがこれで実証された。

それにしても、


「あいつ、どうやって外に出るんだろうな」

ブリテンの方言です。(歴史上のブリテンと全く関係ないです!)


ウンディーネの手:右手

(ウンディーネは水の妖精)

シルフの足:右足

(シルフは風の妖精)

→ウンシル:右


サラマンダーの手:左手

(サラマンダーは火の妖精)

ノームの足:左足

(ノームは地の妖精)

→サラノー:左


隣人:妖精


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