始まり
進みが遅いです。いつもですね。
視点アーサーです。
スコーラ国は隣国ブリテンよりやや北に位置する島である。ミミック諸島とは異なる火山島であり標高は低く岩質は黒い。共通の言語は昔、世界の殆どを席巻したイグノ族の言語である。イグノ族はその後の歴史で激減し現在騎馬民族ホーミー、南のルルカの民に分かれた。その言語は今でも殆どの国々に受け継がれている。
スコーラについての報告書をパラリと捲りすぐさま閉じた。もう文字を見るのは嫌だ。そして講義も嫌だ。閉じ籠められるのも嫌だ。
船が船着場に着いた、スコーラにやって来たのだ。
世界中の人々が集まり共同で生活し学ぶのだ。ワクワクが止まらん。
にしても、何故皆同じような服装にしなきゃならんのだ。
つまらないじゃないか。
皆黒いローブローブローブ。
中は白いシャツと各学園で異なる色のネクタイ、ズボン。女子はリボンとスカート。
折角あのアリビスやイリアムのスケスケ民族衣装を…ごほんごほん。
まぁ、いい。これからずっと刺激的な日々が待ち受けているのだからな。
小うるさいジィもいない、バァもいない。
俺は自由になったのだ。
ああ、スコーラの太陽がとても眩しく感じる…
パスコーンっ
「何故叩く!?」
そうだ、一番うるさい奴がいた。
「よからぬ事を考えていそうでしたので。」
「そんな事わからないだろ!」
「疑わしきは罰すです。」
「ねぇよ、んな諺。」
「顔が満ち足りていましたので。貴方がそんな顔をするのはよからぬ事を考えている時くらいです。」
「俺が幸福を感じる時は毎回叩かれるということか。」
「はいはい、はい荷物。」
こやつ、荷物を置いてさっさと船からおりていきやがった。
「おい、従者。」
…もしかして、マーリンの方がずっと浮かれてんじゃないか?
それはそれで気持ちを共有できた気がして、…いやいや決して嬉しいと思ったわけではない、が素直な俺は素直じゃない奴の置いていった俺の荷物を担いで船からおりる。
マーリンはなんだかんだで俺を待っていた。
「にしても、やけにでかい建物だな。七賢者の住まいか?」
「違います。あれが学生寮です。」
は?という言葉も出ず、その口の形のまま固まってしまった。
いやいやいや。ブリテンの城よりデカイぞ。成人にもなってないお子ちゃまの為にこんなん建てたってのか?
「口を閉じて下さい。みっともない」
口を閉じた。口は閉じれはしたが、目は開けっ放しだ。
しばらく固まってしまった。
「これで驚いていると後がもたないですよ。」
マーリンは学生寮に向かって歩きだした。俺を置いて。
体がやっと動き小走りして追いつく。
またあのような失態をしないよう此奴から色々と聞き出しておこう。
ここはスコーラの教育部都市なんだそうだ。世界中からの船がつけられるような船着場を有している。
ここの主な建物の種類は学生寮、各学園の講義棟・実習棟、そして図書館であるそうだ。
世界中から学生を募るわけだからそれぞれの建物もバカでかい。講義棟、実習棟、図書館は魔術、魔法の関係で特殊な高い石材を使っているらしい。そんなアホな。
因みにクスリス魔術学園は15才から入学可能で4年毎の応募となる、更に一般応募での平均年齢がバカ高いので縦と横との関係が深めないらしい。一方で他の学園は12才から入学可能、毎年の応募で平均年齢も我がブリテンの学校とそれほど変わらないのだそうだ。
他学園の学生と同じ寮で良かったと安堵するばかりだ。
小講義を聞いているうちに学生寮が近づいてきた。
紺色の窓に白い壁、中央には大きな扉があり、長方形の窓がいくつも並んでいる。手前の学生寮の奥には図書館があり学生寮と講義棟に繋がっているらしい。ここからでも円錐形の屋根がいくつも見えている。
これからはブリテンと比べないようにした。
「これから新しい生活が始まるんだぞ。マルクス。」
「そうですね、アレン様。」
「勉強教えろよ。」
パスコーンっ
俺らは同時に学生寮の中へ踏み出した。
本文でも書くと思うのですが、、、
クスリス魔術学園は魔術学園と銘打っておきながら実際は“総合大学”です。
本文でアーサーが言っていた7賢者に繋がるのですが、
魔術、生物、物性、数・音、武術、法学、史学の7つの学問を魔術を中心にクスリスでは学ばせられます。
クスリスの他にも学園がありますが、“総合大学”はあと一つ、他は“単科大学”で7つあります。計9学園あります。
クスリスの受験を諦めた人はもう一つの総合大学に通います。
アーサーはクスリス生は高年齢と思っていますが実際はその総合大学の方が年齢層高いです。




