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魔術学園でのあれこれ  作者: あめ
第ニ章
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試練

あるリタ国の女生徒の独白です。

随分趣向が変わるかもてわす


どうして上手く事が運ばないのかしら?

一つ溜息を吐いてしまう。

私は最も正当なシユンの民の血統よ?

神からのお導きがあってもいいはずなのに。神が私に課した試練なのかしら?


私とあの方との出会いはそれこそ、神のお導きのようだったわ。

羽根ペンを落としたのがきっとそれよ。


出会いは完璧だったけれど、その後が上手くいかないのよね。


名前と身辺調査はブリテンに潜り込ませている私の有能な部下によって既に入手はしているわ。


名前はアレン。

ブリテンの騎士団長エクターの養子で、実の息子のケイより魔力でも武芸でも実力があると噂されていたわ。そして、ここにきて、クスリス入学と昨日の試合結果でそれが証明された。

ブリテンの次期騎士団長で決まりね。

魔力検査でも、彼の実力がよくわかったわ。お父様から神の御力を頂いた私と多分同じくらいなんだもの。目を疑ったわ。

ちょっとだけ悔しかったから、私の魔力の大きさを知ってもらおうとしたら、あの悪魔のように黒黒としていて、瓶底眼鏡の怪しい生徒に後ろから抜かされて測定器は壊されるし…。

あ、でもあの方の魔力の大きさを知れたのは中々収穫だったわ。


そして、私とアレン様の恋路を邪魔する、また同じ黒黒としたマルクスという従者。計測器を壊した生徒と何か関係があるか調べさせたけど、何も出てこなかった。今は黒という単語を聞いただけで、胸がムカムカするわ。

私がアレン様について調べようとする度に邪術で有耶無耶になっているんだもの。

どうしてマルクスの仕業だと分かったかというと、あの悪名高きオウェインの弟子だからよ。

そうに決まってる。

多分、アレン様には何か秘密があるのよね。それを探らなきゃ…。

早くしないと、お父様が結婚相手を決めてしまうもの…。何とか調べ上げて上手く操作していかなきゃ…。


って焦っているのに、今日は最悪だったわ。

教室の階段を昇りながら学食について話していた時、あのタリト共和国の世間知らずな女生徒に絡まれのが元凶。


ただタリトの様な食事は口に合わない、リタ料理にして欲しいと話していただけなのに、他国の相互理解というスコーラの目的に反するだとかなんとか言って絡んできたの。

私だって頭ではわかっていたわ。それでも母国が恋しかったのよ。

だから、


魔力測定器が壊れて良かったわね、スコーラの目的に反することが実証されなくて済んだじゃない。


ってつい意地悪を言ってしまったの。

そしたら、リタを侮辱する言葉を吐いたのよ。

私も部下もカチンときたわ。

つい手を出してしまうほどに。

あ、でも出したのは部下よ。

そしたらその女生徒、階段から落ちて、あのアレン様に抱きとめられたのよ。


信じられる?

全て計算だったんじゃないかしら?


すぐ、大丈夫?と声を掛けたけれど、女生徒は赤くなって固まるだけで、お優しいアレン様は怪我がないか顔を覗き込んでいるし…。

離れなさいって叫ばなかっただけでも自分を褒めてあげなきゃ…。


女生徒は赤い顔そのままに大丈夫ですと言って逃げるように去ってしまったから、私達もそのまま退散したわ。


その時、アレン様の顔が怖くて見れなかったけれど、きっと大丈夫よね?


きっと大丈夫。

これから直接声を掛けたりして、仲良くなったら訳を言えばいいんだわ。

私には神がついている。

そう、きっと大丈夫。


そう言い聞かせているとアレン様が教室に入ってきた。

席を探していたのでドキドキしながら声を掛けてあげた。


「あ、あのここ空いてますよ。」


以前羽ペンを拾ってくれた時と同じ、私の後ろの席…。

ちょうど一つ空いている。


「あ、さっきの…。」


やっぱり私の顔見ていたんだ。

一気に胸のうちが冷めきった。


「何かあったんだろうけど、やる時は階段じゃなくて実習で使うグラウンドにしろよな。足場しっかりしてる方がいいだろ?その時は審判務めるよ。」


何か勘違いしている…。


そう言えば聞いたことがあるわ。

ブリテンでは喧嘩があったら公平な審判の元で決闘を行うことで喧嘩を収めると…。

女も決闘をするってことかしら?

やっぱり野蛮なお国柄なのね。

でも、悪い印象をそこまで与えなかったようで安心したわ。


「ええ、これからはそうしますわ。」

「あ、でも俺も参戦したいな。」

「は?」

「どの国の料理が一番美味いかっていうことだろ?俺はやっぱりブリテン押しだな。」


ま、また勘違いしてる…


「私はタリト料理も好きです」


あの従者も乗ってきた。


「いや、ドリオスだろ」


宿敵ドリオスのリーダー格らしい生徒も乗っかってきた。


「アルビス料理に決まりよ」


アルビス人の寮長までも乗っかってきた。


それらを皮切りに教室中が自国の料理自慢の話で煩くなった。


「いやー、これは熱い戦いになりそうだ。勝った組は一季節の間、学食はずっとその料理ってのも良いかもな。」


教室中の空気が更に熱くなる。


「は、はぁ。」


「審判はトーマス先生だな、あと学食の人にも掛け合わなきゃだし…。」


何だか話が大きくなっている。


「それじゃ、よろしく。郷土料理別決闘実行委員長。」


いつの間にか変な委員に任命されていた。


「あ、あと席ありがとな。でも三人で座るからいいんだ。」


さ、三人?

従者はわかるけど…

アレン様の隣には黒い頭が二つ。

従者にあの怪しい生徒。


そ、そんな。

聞いてない。

アレン様とその黒い生徒に繋がりがあるなんて…。

黒い悪魔に囲まれたアレン様を見ると、恋路から遠のくような感覚がした。


私は前に向き直り、手を握りあわせた。


ああ、神よ。

なぜこのような試練を私に課すのでしょう。


私は頭を垂れてお祈りをした。

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