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魔術学園でのあれこれ  作者: あめ
第一章
20/41

魔法

アーサー視点です。

説明が続きます汗

マーリンは暫く考えた後訥々と話し始めた。まだ記憶が戻り始めたばかりなので整理しながら話しているようだ。


「魔力の貯蔵の仕方って知っているか?」

「いや。」

「俺もこの頃知ったんだが…」


マーリンはこのように切り出した。


「まず、魔力の正体だ。」

「タオだろ?」

「根源的には全てクリュオンだ。」

「昨日言ってた?」

「ああ、そうだ。」


「クリュオンは外界だけではなく俺らの内部も絶えず循環している。タオは内部から外界に出たクリュオンを指すんだ。」


「ここからが常識とは違う。魔術は俺たちの魔脈に流れる魔力を外界にタオとして発現させて変化を起こすと考えられているが、実はその時俺たちが発現させるタオ、クリュオンは周りのクリュオンの方向指示をしているだけだ。変化させる力は外界のクリュオンに頼っているんだ」

「…、だから力が魔法より弱く、素早く発動できるのか?」

「そうだ。」


「一方で魔法は寧ろ常識での魔術の解釈に近い。俺たちの循環するクリュオンをそのまま外界に変化させる力として発現するんだ。」

「…なるほどね。そこに空気を染める染めないの違いがあるのか?」

「ああ、魔術は無制限に多くのクリュオンに方向指示する。そのとき、外界に発現したクリュオンはその人間の心理状態に染まっていて、それが外界を循環するクリュオンに伝播してしまうんだ。」

「で、魔法は伝播しないってわけか」

「ああ、力を外部に影響なく消費できるからな。力を消費したクリュオンは、俺たちの内部の魔脈を循環し終え魔脈孔から出るクリュオンと同じように外界のクリュオンから力を受け取りながら流れていく」

「話しが逸れるが、クリュオンって減る一方で染まる一方じゃないか?」

「エルフは浄化と力の付与、ドラゴンとケンタウロスは世界全体の循環の調節を行うことでバランスが取れているんだ」

「彼奴らそんなんやってたんだな。エルフは知らないけど、ドラゴンやケンタウロスは好き勝手やってるだけかと思ってた」

「まぁな。」


「話しを戻すが魔力を扱う条件として、魔術も魔法も内部を循環するクリュオンを感じる必要がある。が、魔法はそれだけでは足りない。力を自分のクリュオンで賄わなければならないから、クリュオンを魔力として貯めていく必要がある。」


「魔力を貯めるには外部に流れるクリュオンと同期する必要があるんだ。」

「どうして?」

「生命は開かれた系で外部は凡そ閉じられた系だからだ。」

「もう少しわかりやすく……」

「生命は川で外部は海といえばわかりやすいか?川に浮いたら一緒に流れてしまうが、海に浮いたら漂っていられるだろう?」

「何と無くわかった」

「外部に流れるクリュオンと同期することは、魔力の貯蔵にも繋がるし、妖精や精霊を感じたり見たり話したりすることにも繋がる…」

「………!それじゃ、俺に覆いを施すとかなんとかって…」

「ああ、………モルガンか…」


姉上か…、しまった、考えに入れていなかったな。一番やりそうなのに…。


「モルガンはブリテンの後継者選抜の条件として、妖精からどれだけ愛されているか、という所に反感を持っていたからな…。その条件を改変する方向かと思っていた。」


つい口に出てしまった。


「多分誰かが入れ知恵したんだろう…。俺が来る前にお前に近づいた奴はいるか?」

「色んなのが近づいてきてたからな…。でも、その頃からかな…。魔術師団が結成されたのと、魔法の代わりに魔術の講義になったのは…」

「マグヌスか…」

「まさか…。」

「わかっているんだろう?頭では」

「…………、」

「マグヌスはスコーラとの繋がりもある。元々ここ出身だからな。」

「だからって…」

「………、お前の恩人の一人だとは認知している。」


俺は下を向いた。


「………犯人は誰か、ではなくその覆いを解くことを優先して考えよう。スコーラ側に感づかれないような方法でな…」

「そんなんあんのか?」

「そのアリという奴と、俺の姉さんかな。先ず聞くとしたら…」


俺は硬直した。

思わずマーリンを見る。

マーリンは肩を竦めた。


「お前、それ言ってない!一度も!」

「聞かれなかったからな。」

「ハーフエルフの女ってのも聞いたことない!」

「いや、実のじゃないんだ。俺を養ってくれた人達で…」

「複数いんのか!?」

「ああ。」

「…、待てよ。もしかして、学園にいんのか?」

「ああ。」

「何で言わないんだよ!」

「だから、聞かれなかったから。」

「そうじゃないだろ!」

「とりあえず、もう次の授業が始まる。出るぞ」


マーリンは言い終え、すぐに部屋を出ていく。


「待てよ。まだ話しは終わってない。」

「もう、終わりです。今日はやるべきことが沢山ありますので。」

「しかし、お前のその諸悪の根源を見出す日が来るなんて…」


パスコーンっ

マーリンにはたかれた。


「やっぱり、性格悪いのか?お姉さん達?」

「私は優しいでしょう?姉さん達を反面教師にしましたので。」

「優しいとか、自分で言うか?じゃ、お姉さん達、寧ろ性格良いのかもな…」


また、叩かれた。


「こういう暴力的な所もお姉さん似?」

「…、それは否めないです。」


と、生徒のざわめきが大きくなっていった。

魔力検査は式典が行われた中央の大ホールで行われ、全生徒が一気に調べられる。

一昨日と同様、各学園が列を作って順番に行うのだ。調べるのは先着順だが…。


並んでいると、声を掛けられた。


「アーサー、ちょっといいか?」


ハブルだった。

マーリンに睨まれた。


「アレン様、名を明かしたんですか?」

「友達には名を明かすだろう?」


マーリンは溜息をついた。


「遅れました、私こちらの従者を務めているマルクスといいます。」

「ああ、おれはチノアだ。こいつの事はアレンと言った方が良いのだろう?」

「ご理解頂き感謝致します。」

「言い忘れたが、俺も名を言われると都合が悪い場合がある。アレン、って事でチノアでよろしく。」

「あい、わかった。で、どうしたんだ?」

「アリからの伝言だ。"覆いについてはアグニ…マラルに聞け"だそうだ。」

「アグニでもマラルでもわからん。学園にいるのか?」

「ああ、彼処にいる」


ハブルはクスリスの前の方に目をやった。


「アリが"聞くときは俺も一緒に聞きたいから待ってくれ"だそうだ。因みに俺も一緒に聞きたい。」


ハブルの目線の先は年齢詐称の双子だった。

マーリンが姉さんと呟いた。

どうなってんだ。


既にわかっている方いらっしゃるかもですが、イリアムはインドを、ドリオスはモンゴルをモデルにしています。


イリアム人のアリが双子ちゃんを指す言葉、アグニはインド神話の火神で、2つの顔を持つ人間と神の媒介者として語られています。


一方ドリオス人、ハブルの双子ちゃんを指した言葉、マラルはモンゴル語で鹿という意味です。

ハブルの呼び名チノアはドリオスの支配者の家系を指す言葉としてこの話では用いています。モンゴル語で狼という意味です。

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