表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

私は、人間だ

作者: 雪路

よく、こんな言葉を聞く。


「人でなし」

「悪魔の所業」


そんな馬鹿な、と耳にする度、私は思うのだ。


人でないからあのような事が出来るのだ。

悪魔の如き性根を持つが故に、かのような残虐な事が出来るのだ。


全くもって、馬鹿馬鹿しい限りだ。


人とは、己の杓子定規でしか物事を測れない。それが故に、己にとって理解の範疇を越えれば、何かしらの理由付けをして、己を納得させようとする。

それはカルト信仰からくる精神異常(発狂)であったり、過去による精神的苦痛トラウマであったり、非現実的かつ非日常的な存在を引き合いに出すことによる、排斥。


己は決してアレとは違うと。

己にはアレと同じ要素などない故に、決してあのような非道な存在に成る事はないと、成れはしないのだと、思い込む。

境界をはっきりとさせることで、あたかも全くの異種族であるかのような言動をとる。


愚かな。

なんと愚かしく愛おしい生き物だろうか。

人が忌避し、嫌悪する行動が出来るのは、自身が人であるが故だろうに。


己が人であるが故に、人が何を禁忌タブーとしているかが分かる。

人が何を忌み嫌っているかが分かる。

人が何を畏怖するかが分かる。


分かるからこそ、行動出来る。



だから私は人が好きだ。

だから私は人が嫌いだ。


この息が詰まる、汚泥をたっぷりと溜め込んだドブの底のような世界で、全身を悪臭を放つそれに塗れさせながらも必死に、清く、美しくあろうともがく、その様が、滑稽で堪らない。愛らしくて堪らない、愛してやまない。


そして何より愛すべきは、その死という、生と同じくらい、生涯で一度しか経験できない瞬間の表情かおであろう。



だから私は今日も、「悪魔の所業」とやらに精を出すのだ。








『本日未明、○○○公園の噴水に、男女複数名のバラバラ死体が放り込まれているのを、同公園の清掃員、××××さん53歳が発見しました。


遺体に切断以外の特徴は見られず、警察では、これまで起きた数件の連続殺人と同じ犯人と見て捜査を……』



「…また?」


プツンと、今時珍しいアナログの、しかもダイヤル式のテレビを消して、呆れを滲ませた美貌の女性が、問いかけるようにして、それだけを呟く。


「うん」


問われた方も、ただ一言だけ簡潔に答え、用意されたサラダの上に燦然と乗るポーチドエッグの攻略に集中する。

例え会話をしたとしても、あまり記憶に残らないようなよくある顔立ちで、強いて特徴を挙げるとするならば、その茫洋とした、何を見ているのか、何処を見ているのか判然としない瞳であろうか。


「どうせ、殺してからじゃなくて、生きたまま切断したんでしょう」


「?当たり前だろう。殺してからじゃ、それは救いになるじゃないか」


皿から顔をあげ、きょとりとした表情で、こともなげに言う。

女はふぅ、と溜息を吐くと、目の前の史上最悪の連続殺人鬼シリアルキラーの、口元についたとろりとした卵黄を優しく拭う。こんなところは抜けているから、たまに凶悪な殺人鬼だなんて、忘れてしまう。

…それがこの子の、恐ろしい所なのだが。


「…貴方って、相当変態だわね」


「悪魔となら、よく言われるよ」


何でもないことのようにそう言って、目的のない殺人鬼は、再び皿の上の料理に挑む。次はフレンチトーストだ。好物である。


「…実際は、こんなにもどうしようもなく人間なのにねぇ」


ぽつりと呟き、微笑む女に見守られながら含んだそれは、甘かった。

え?

勢いだけで書いたので、後悔はありませんよ?


反省もしません。


主人公らしき人物が、男か女かも分かりません(オイ)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ