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誠は、遼哉んチに行き、インターホンを鳴らすが…。
留守だったので仕方がなく、帰ってくるのを待った。
ドアの前で。
「あれ?」
声に気付いた誠が振り向くとそこには紗佳と美咲がいた。
「紗佳も?」
「心配でね。いないの?」
「ああ。携帯通じなくて、ここに来たんだけどな」
「バイト先は?」
「さっき行ったんだけど休むって連絡あったみたいでいなかったぜ」
「そう…どこに行ったんだろうね」
「…あたしのせいかな?」
美咲がつぶやいた。
「気にすることはないよ」
背中をさすりながら励ます紗佳。
「何かあったのか?」
ダメもとで聞いてみる誠。
「実はね…理事長ともみ合ったらしく、美咲が暴れる遼哉を止めようとビンタしちゃってね」
「理事長?ヤッベェな…マジであいつ探さないと」
「なんで?」
「ワケは後で話す。遼哉の怪我は美咲センセじゃないよ。ビンタしたのは、左の頬でしょ?赤くなっていただけで口が切れていたのは右のほうだったよ」
そう言い、探しに行った。
「右?!理事長にやられたってこと?」
美咲が紗佳に聞く。
「かも知れないね。誠も理事長と聞いたとたん顔色変わったし…」
「うん…」
「とりあえず1回ウチに帰ろ。誠がきっと見つけてウチに連れてくると思うから」
紗佳は、ショックを受けてる美咲を連れて帰った。
数時間後、誠がウチに戻ってくる。
「いた?!」
紗佳が駆けつけながら聞いてくる。
首を横に振る誠。
その時、紗佳の携帯が鳴った。
「もしもし…」
『西崎紗佳さんですか?こちら、南警察署の者ですか…』
「はい。知り合いですが…はい…分かりました」
電話を切る紗佳。
「どうした?」
誠が聞いてくる。
「遼哉くんが警察に補導されたの。あたし、今から引き取りに行くから」
「警察?久々、ケンカでもしたな。うちに連れて帰ってくれ」
紗佳は出て行き、誠は見送った。
「警察署にいるの?遼哉くんは」
美咲が当然聞いてくる。
「らしい。とりあえず待ってみよう」
「なんで紗佳なの?」
「あれ?知らなかった?」
「何を?」
「あいつの保護者は、ばあちゃんだったよ。今は、いないけどな」
「ばあちゃん?他に身寄りはいなかったの?」
「そう!だから紗佳が知り合いってことになっているんだ」
「へぇ…」
その頃、遼哉は警察署で紗佳を待っていた。
紗佳が到着し、
「哀川遼哉は…」
「あっ、はい。こちらです」
遼哉の前に立つ紗佳。
怒っている紗佳を無視する遼哉。
「ご迷惑おかけしました…」
1人の刑事にお詫びする紗佳。
「最近、来なくなったなと思っていたのに…久々、現れましたね」
「もうさせません。すみませんでした」
頭を下げる紗佳。
そして、遼哉の腕を引っ張る。
紗佳の車に乗る2人。
「どうしてケンカしたのか話してもらいましょうか?」
「…」
「黙ってないで何か言ったら?美咲も誠も心配している」
「…」
「ウチに来なさい」
「ここでおろせ!」
「手当てもしないとね」
無理やり連れてく紗佳。
玄関のほうで物音がした。
「おっ、帰ってきた」
誠が美咲に言う。
紗佳が遼哉の腕を引っ張りながら部屋に上がる。
「おまえさ〜久々、ケンカしたな?すっきりしたやろ?」
「足りねぇ」
「もうケンカやめろよ」
「おまえが言うな」
機嫌悪そうな遼哉を見て誠は降参する。
「ここに座って」
紗佳がソファーの上をポンポンとたたいた。
座ろうとしない遼哉。
誠が無理やり遼哉の肩を上から押して座らせた。
「誠!そこのコンビ二まで一緒に行かない?」
紗佳が誠に目をパチパチしながら合図を送った。
状況を理解した誠は返事をした。
「手当てよろしく」
美咲に頼んで出て行った。