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「結局、泊まったの?」
紗佳が大声で聞いてきた。
「シッ!声、大きいよ」と紗佳の口をあおぐ美咲。
「あっゴメン。で、どうなったの?」
「何もなかったよ。別々で寝ただけ」
「えー!あの遼哉くんが何もしなかったってこと?」
「なんで?」
「ううん。なんでもないよ。行こっ!美咲」
2人は学校に向かった。
「ウッス!遼哉来てるゼ」
和成が誠に声をかけた。
「よっ!ホンマか?サンキュ」
誠は喜んでダッシュした。
「遼哉〜!」
「大声で呼ぶな」
誠は、遼哉を抱きついた。
「どけ!うっとしい!」
笑いながら暴れる遼哉。
誠は、すぐ遼哉から離れた。
「復活したな!美咲センセのパワーはすげ〜な!」
遼哉は誠の言ってることに疑問を持ち、
「てめぇ…たくらんだな」
「なんのこと?さっぱりわからん」
「美咲センセ、俺のところに行かせたのは!」
「元気になったんだからいいべ〜!で、泊まったんだろ?」
「ああ」
「寝たか?」
「は?別々の部屋で寝ただけ」
「遼ちゃん、寝てないの〜?」
「おまえな…つーか、知ってんだろ?俺から誘うことなんて今までなかったことを」
「確かに。みんな女のほうからだったもんな。でさ、おまえって美咲センセのことマジで好きなんだろ?」
「…バレバレか。気はあるが好きになれん」
「はぁ?!」
「おっ、高津来たゼ」
話を避ける遼哉。
「哀川、来てたのか?HR後、職員室に来い」
高津先生に言われる遼哉。
遼哉は、返事せず黙ってた。
「なあ、おまえばっか呼び出すよな?高津のやつ」
「誠より目つけられてるってことだな」
「1人で大丈夫か?俺もついて行こうか?」
「…目的は紗佳サンだろ?」
ゲラゲラ笑う誠と遼哉。
じゃあな、と遼哉は職員室に入った。
「来たな。哀川」
「用はなんだよ」
「教頭先生がお前に用があるみたいだ。さっそく行って来い」
ハッと顔を上げる遼哉。
そして、教頭先生のところに行き、
「哀川です。何か用ッスか?」
「私と一緒に来てください。理事長が呼んでいます」
理事長と聞いた遼哉は舌打ちした。
−あいつ…気付いたんだな?俺がここにいることに−
理事長室に入り、教頭先生はすぐ退室した。
数分後、理事長室から叫び声がした。
職員室まで響いたらしく気付いた教頭先生をはじめ、他の先生達が駆けつけた。
扉を開けると信じられない光景が…。
「哀川、何してるんだ?離れなさい」
教頭先生が怒鳴った。
遼哉が理事用の襟元をつかんで殴ろうとしていたのだ。
高津先生と近藤先生が遼哉を止める。
「離せ!殴ってやる!」
「やめなさい!哀川」
ずっと暴れている遼哉のもとに美咲が現れて
"バシッ"
遼哉の頬をビンタした。
周りがシーンとなった。
「哀川、退学だ!」
教頭先生が理事長を起こしながら大声で言った。
「ちょっと待ってください。処分はなしでいいです」
辛そうに起き上がる理事長。
2人の先生にはさまれた遼哉は、みんなの前で理事長に
「アンタが悪い!こっちから辞めてやる!こんな学校なんか」
そう言い、両腕をつかんでいた先生を振り払い、部屋から出て行った。
かばん取りに教室に戻る遼哉。
「遼哉…口のとこ切れてないか?」
誠が話しかけてきた。
「別に。俺、辞めるから!じゃあな」
帰っていった遼哉に疑問を持った誠は職員室に行き、
「高津!遼哉が辞めると言って帰ったんだけど何した?」
「授業中だぞ。戻れ」
「質問に答えろ!」
「早退しただけ。戻れ」
「早退?ウソだね。あいつ、口のとこ切れていたゼ」
それを聞いた美咲は、誠のほうを見た。