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5

誠が落ち込みながらウチに帰ってくる。


「おかえり〜…どうしたの?」


様子がおかしい誠に気付く紗佳。


「遼哉のばあちゃんが…死んだ」


「えっ?」


「ずっと連絡取れなくて遼哉のバイト先に行ったんだ。そしたら店長からばあちゃんが死んだことを聞かれて、遼哉んチに行った。でも会ってくれなかった」


「ウチにいるの?遼哉くんは」


「物音がしたからいるはず。あいつ、1人だよ…」


「そう…いつ亡くなったの?」


「3日前らしい。火葬などは1人で済ませたらしい」


「3日前って…ペンダント取りに来た次の日?学校からは何も連絡がなかったから報告していなかったのかもね」


「らしいね。明日、学校だよな?あいつ来るかな?」




  +++



遼哉が学校を休んで3日たつ。


担任の高津先生や誠が訪ねても会えず。


職員室で紗佳と美咲が話している。


「哀川くんは、あれから登校してこないね」


「3日もたつよね。誠から(小さくボソボソ)提案があってね、美咲だったら会ってくれるんじゃないかって」


「あたし?なんで?」


「それしか言わなかったからわからないよ。あたしも誠も行くから一緒に行こっ!」


「…(考え込む)いいよ。いつ?」


「今日、学校が終わってから。『うみ』という居酒屋、知ってるよね?そこの近くの喫茶店で待ち合わせね」


「うん」




放課後…


「「えっ?!」」


紗佳と美咲が同時に驚く。


木造2階建てでボロくて不気味なアパートが、遼哉の住むアパートだったからだ。


「ここなんだ。汚いところだから無理しなくてもいいよ」


誠が2人に言う。


「ううん、大丈夫」


「せっかく来たんだから訪ねてみよう」


紗佳と美咲は拒否せず答えた。


遼哉の部屋に着き、インターホンを鳴らしてノックする誠。


出てくる気配がない。誠は、紗佳の目を見て首を横に振った。


「遼哉くん、顔だけでも見せて!」


紗佳がドアの向こうにいる遼哉に声をかける。


「美咲センセも来てる。出てくれ」


誠が大声で言った。


ドアの向こうで物音がし、静かにドアが開く。


「遼哉!って…やつれたな…」


誠が閉められないようにドアの下に足をかけながら言った。


「悪いが帰ってくれ。1人にしてくれ」


そう言い、誠の足をどけてドアを閉めた。



「なんだよ。あいつは」


文句を言いながら階段を降りる誠。


「五十嵐くん、なんであたしだったら会えるって思ったの?」


美咲が突然聞いてくる。


「ああ…なんとなく」


テキトーに答える誠。それがウソだということを紗佳は気付き、


「誠!ごまかさないで」と怒った。


「オレの感だぜ。あいつさ、美咲センセと会ってから変わったんだよ。特に、女遊びなんかしなくなったよ」


「そういえば、警察に補導されなくなったね」


紗佳が思い出したように言う。


「そうなの?去年はひどかったってこと?」


「そうなるね。今年、入ってきた美咲にはわからないけどね。誠と遼哉は、ほとんどの先生に目つけられているのよ」


「へぇ…」あいまいな返事をしながら首をかしげる美咲。


「美咲センセ。もう1回訪ねてみて。美咲センセ1人だけだったら会って話してくれると思うから」


紗佳と美咲は誠の言葉で立ち止まった。


「そうだね。あたしたち帰るから」


「待って!あたし1人で今から?」


「親友である俺からも頼む」


誠は、頭を下げて言った。


じゃあね、と紗佳は誠の手をつかんで行った。


美咲は、仕方がなく遼哉のウチに向かって歩き出した。





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