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病院にいる遼哉のもとに誠が訪ねてきた。
「ウッス!メール入れたんだけどいいよな?」
「ああ。分かってもらった方が早いし」
遼哉が早退した後、高津先生が
本当に遼哉が病院に行っているのか確かめてくるように
美咲と紗佳に頼んだ。
誠が全て知っているので、2人を連れて病院に行ったのである。
「こんにちは。本当だったんだ?」
美咲が声かけた。紗佳は、
「どうして言ってくれなかったの?」
誠に聞いた。
「・・・」
誠は何も言わず黙っていた。
遼哉は2人の会話に気付き、
「紗佳サン、俺が悪いんだ。誠に黙ってくれと頼んだんだ」
そう言い、誠の肩をポンと手を置いた。
「だから、学校に行くふりをして制服を着て朝、家から出たの?」
「…うん」
誠は、気まずいと思いながら紗佳に返事した。
「サボったのは、病院に行くためだけじゃなかったんだ。遼哉が大事にしてたものを探していたんだ」
誠は、急に開き直って言い出した。
「大事なものって?」
紗佳と美咲は、遼哉の方を見て聞いた。
「それはな…」
誠が言おうとしたとき、
遼哉は誠の足を踏んで
「誠!余計なことを言うな」
「いってぇよ」
誠は痛がっていた。
「哀川さん、ちょっと話があります」
後ろから声がした。
振り向くと医師が遼哉を呼んでいた。
「俺、話あるみたいだから行くけど誠はどうする?」
「俺?もうちょいしたら帰るよ」
誠は、紗佳と美咲の目を見て答えた。
遼哉は、医師とともにその場からいなくなった。
誠は、2人に聞いた。
「帰ろうか?」
「そうだね」
紗佳はそう返事した。
美咲は、車のキーを探しながら首を縦に振った。
かばんから車のキーを取り出したとき、何か落とした。
気付いた紗佳が
「落ちたよ。コレ」
ペンダントを拾って渡した。
「あ!ちょっと待って。コレは?」
誠が病院だということを忘れて大声出した。
「誠!ここ、病院だから静かにして!」
紗佳が誠の背中を叩きながら怒った。
「いってー。で、コレはどこで拾ったの?」
美咲に聞いた。
美咲は、元カレのことで色々あって助けてくれたこと、その人が落としたものだということを説明した。
「ねぇ。このペンダントは誰なのか知ってるの?」
紗佳が誠に聞いた。
「このペンダントは、オーダーで作られたものらしく世界にたった1つしかないんだ。それに形見なんだよ」
最後に、遼哉が大事にしているものだよ、と答えた。