25
ケガから回復した遼哉は、ある決心を実行しようとした。
登校した遼哉のもとに担任である高津先生に呼ばれた。
「来たな。さっそくだが職員室に来い」
「俺も先生に話したいことがあるんすよ。ちょーどいいや」
2人は職員室に向かった。
職員室に意外な人物がいた。
理事長である神崎だった。神崎は、入ってきた遼哉の目を見てニャッと笑った。
「何っすか?」
高津先生に問いかける遼哉。
「おまえを呼んだのはわたしじゃないんだ。教頭先生に頼まれたんだ。教頭先生のところに行ってこい」
−教頭?もしや…−
教頭先生は、神崎のそばにいた。そこに向かい、こう聞いた。
「俺に何か用っすか?」
「今から話す。みんなの前でな。そこに座っていなさい」
遼哉は、返事もせずそばにあるいすに座った。
「全員そろいましたね。遼哉くんもいますし」
神崎の耳元に小さな声でささやく教頭先生。
「うむ」
そう返事をし、立ち上がる神崎。
「急で申し訳ない。私自身のことで皆さんに話さなければならない…と思い、この場をお借りした」
神崎が話しているそばで遼哉は、携帯をいじっていた。
「この学園にわたしの息子が在学している。名字は違うが、そこにいる哀川遼哉だ」
神崎の発言により周りにいた先生達が騒ぎ始めた。
「ずっと隠してきたことはおわびする。遼哉の保護者であった祖母が最近亡くなった。
それによって私が遼哉を引き取ることになっ…」
"ガタン"
神崎が言いかけているとき大きい音がした。
音をしたほうに振り向くと、遼哉がいすを蹴り飛ばしていた。
教頭先生の呼びかけにも応じず、ずっと神崎のにらむように見ていた。
「アンタが俺の保護者?ふざけんな。あんたの息子じゃないんだ」
「親のそういうこと言うのか?」
「誰が親?つーか、アンタ何者なんだ?」
「…遼哉?どうしたんだ?」
「アンタ、一体誰なんだ?…うざいんだよ。俺、今日限りでココ辞める」