21
玄関のドアが開く音がした。
美咲、紗佳、誠の3人は慌てて玄関のほうに駆けつけた。
"バシッ"
美咲が遼哉の頬を叩いたのだ。
「どこに行ってたの?」
「電話ひとつもできないの?」
「心配したぞ」
3人は怒鳴っていた。それに対して遼哉は、ずっと無言でいた。
「何か言いなさいよ!」
遼哉の肩を揺らしながら聞く美咲。
「…っせえな」
「えっ?!」
「うっせぇってゆってんだろ!」
「キャッ!」
美咲を突き飛ばした。
「美咲!」
後ろに倒れた美咲のもとに駆けつける紗佳。
「おまえ、どうしたんだ?」
「…」
誠が言いかけるが返事が返ってこない。
機嫌悪そうに部屋に入る遼哉。
「はぁ〜」
3人が同時にため息をはいた。
数分後…3人はリビングにいた。
「ん?何か聞こえない?」
いきなり誠が美咲と紗佳に言う。
2人は、耳を澄まして聞いてみることに。
『…うっ…ぐ…』
「泣き声?」
紗佳が誠に確認する。
「おっ聞こえたか?どうやら向こうの部屋からだ」
「向こうって…泣いてるの、遼哉くん?」
「しかいね〜だろ」
「あたし、見てくる!」
立ち上がった美咲が向こうの部屋のドアを開けてみた。
「遼哉くん!」
美咲が大声を出した。そこには信じられない光景だった。
遼哉の怪我していない手首から血が出ていたのだ。そばにナイフが…。
美咲の大声に異変を感じた2人も駆けつけ、遼哉の姿にびっくりした。
美咲は慌てて遼哉の手首をおさえた。
「どうして?」
「…」
「黙っていたらわからないでしょ!遼哉!」
「…俺、死んだほうがいいんだ」
「どうしてそんなことを言うの?」
「…」
「おい!救急車来たぞ!早くしろ!」
誠が、美咲と遼哉の会話に割り込んでそう言った。
遼哉は、美咲とともに病院に運ばれた。