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美咲と同棲が始まって数日がたった。
「今日、病院に行く日だよね?」
美咲に話しかけられるが遼哉は気付いていない。
「遼哉くん?聞いてる?」
「・・・」
美咲が近づいても気付かない遼哉は、考え事をしていた。
「ちょっとぉ〜」
「うおっ!!」
美咲の大声にビクッとびっくりする遼哉。
「病院、今日だよね?」
「ああ…1人で行けるから」
「なんで?遠いわよ」
「タクシーで行くからセンセは学校に行って。俺、遅れていくから」
「…ん、わかったわ。気をつけてね」
「ラジャー」
美咲は、ウチを出た。その後、遼哉は病院に向かった。
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「誠からメールがきて、遼哉くんは休みなのか?ってね」
職員室で紗佳が小さな声で美咲に言った。
「遅れてくるって言ってたよ…ん、それにしては遅いね…」
時間を見ながらそう言った。
午前中に行ってるはずだから午後はもう来てるはずなんだけど…
心配になった美咲は、職員室から抜け出して資料室に向かった。
そして、さっそく遼哉の携帯にかけてみるが…出てくれなかった。
早退できない美咲は、紗佳を通して誠に頼んだ。
ウチに遼哉がいるかどうかを。
伝言を聞いた誠は、学校をサボり遼哉のとこへ向かった。
インターホンを鳴らすが応答がない。
ウチにいないことを確認した誠は、紗佳にメールを送った。
"留守だったよ。心当たりある?"
伝言を聞いた美咲は、急いで仕事を終え、紗佳とともに誠がいるところに向かって誠と合流した。
そして、3人で手分けして探し始めた。
その頃、遼哉は街はずれにあるビルのところにいた。