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「哀川遼哉先輩、わたしと付き合ってください」
「そ〜ゆ〜のってキョーミないから」
学校の屋上で告白されて断る遼哉。
告白した女の子は、泣きながらその場から去っていった。
遼哉のこと、哀川遼哉。明聖高校に通う高校2年。
勉強はできるが、グレている。
祖母と二人暮らし。現在、祖母は入院中。
入院費や生活費などは居酒屋でのバイトでやりくりしている。
「告白されたんだ?何回目?」
後ろから声が…
振り向くと誠がいた。
誠のこと、五十嵐誠。遼哉と同じ高校に通う高校2年。
単位が足りず、1年留年している。
遼哉がグレる前から不良。恋人と同棲中。
「さあ?知らねぇよ!そ〜ゆ〜のってウザいんだよ」
「確かにそうかもな。1年前まではあんな感じだったな。俺も」
遼哉と誠が会話している。
そこに、和成と恵が入ってきた。
青木和成。吉村恵。遼哉と同じ高校に通う高校2年。
2人は遼哉と幼なじみであり、中学のときから恋人。
キューピットは、グレる前の遼哉である。
「一緒に食べよ」
恵が言い出し、和成は遼哉と誠にパンが入っている袋を投げる。
「うぉっ!あぶねぇ。つーか、俺たちはパンかよ?」
「和成は?」
遼哉と誠が文句言う。
「俺か?恵が作ってくれた弁当があるから」
和成は、デレデレしながら答えた。
「チェッ、弁当か…」
誠がつぶやきながら遼哉を見た。
その時、誠はある事に気付く。
「遼哉〜。ペンダントはどうしたんだ?」
和成と恵も誠の言ったことでようやく気付く。
「あっ!ほんとだぁ〜」
「大事なもんなんだろ?」
遼哉は、自分の首もとを触り、
「ああ…どっかで落としたんだ。それに探すヒマもないな」
「そっか。バイトとか病院とかで忙しいんだったな」
誠が思い出したように言う。
「ごっちそ〜さま。俺たち、先に教室戻るんわ」
食べ終えた和成が恵と手をつないで去る。
「あいつら、仲いいよな〜。あっ!俺も探すの手伝うよ。ペンダント」
誠が急に言い出した。
「俺は、遼哉んチから学校までの通学路で探してみるから遼哉は、病院とバイト先である居酒屋で探しな」
「サンキュな。誠」
「俺たち、親友だろ?なわけで午後からの授業サボっちゃおうぜ」
「そうだな。フケるか」
2人は、学校を後にした。