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「神崎…理事長は、俺の親父なんだ…おふくろを死なせたヤツなんだ…」
美咲を紗佳は絶句し、誠はやれやれとまいっている。
「俺、あいつに殺されるところだったんだ。おふくろは…俺をかばって死んだんだ。ばあちゃんが死ぬ寸前、語ってくれたんだ」
気がつけば遼哉の頬は、涙で濡れていた。
「おい!俺、初耳だぞ。おまえのおふくろが殺されていたこと」
誠が改めて聞く。
「これは、神崎と俺の問題だから言いたくなかったんだ…」
「…ばあちゃんが死んでからずっと1人で抱えていたとは…悪かったな」
誠が遼哉に謝る。
「だから、一緒に住めない…美咲センセ、ゴメン」
遼哉は、美咲に頭を下げて謝る。
「頭、上げて!それが理由でもあたしは遼哉くんと住みたい。ねぇ、住もうよ。おばあさまも喜んでいるはずだから。1人でいるより誰かと一緒にいたほうがねえ」
美咲が遼哉の両肩をポンポンと軽く叩きながらそう言った。
「そうしろ!」
「そうしなさい。今からでも」
誠と紗佳がそう言いながら遼哉に近づく。
3人に言われ続けて負けた遼哉は、渋々と承諾した。
そこから美咲との同棲が始まった。
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遼哉は、誠の運転で自分のアパートに戻っていた。
荷物を運ぶためだ。といっても服ぐらいしかないが…。
「ここにある服、全部バックに入れといて」
指をさしながら誠に頼んだ。
遼哉は、ばあちゃんの物を整理していた。
その時、ある物を見つける。
−これ…日記だよな…ばあちゃんが書いていたのかな?つーか、何冊あんだよ!−
パラパラめくってみたら1枚の写真が落ちた。
−これ…若い頃のおふくろだよな?なぜ、これがはさんでいたんだ?あとでゆっくり読もっと−
落ちた写真を日記にはさみ、バックに入れた。
「おーい!こっちは終わったぞー!」
誠の呼び声に驚いた遼哉は、そう返事する。
「今、終わったとこ。これ、持っていってくれ」
「これもか?」
2つのバックをすでに持っていた誠が指をさした。
「うん。あっ…その前に俺を立ち上がらせてくれ」
自分自身、ケガしてたのを忘れる遼哉。
「んっとぉ〜」「おりゃ〜、サンキュ」
誠の手をかりて誠のかけ声で立ち上がった遼哉。
そして、アパートを後にした。