17
退院した遼哉は、誠たちと美咲の部屋にいた。
なぜか?それは、誠に言われたからだ。
"生活するのに不便だろ?当分の間、美咲センセのところで世話になってもらいな。恋人なんだし"って。
確かに不便だ。頭のケガは、治ったとしても右腕と左足は骨折していてギブスをつけている状態だし…。
「なぁ、一緒に住んじゃえば?美咲センセと」
急に言い出す誠にア然する遼哉。そして、紗佳もいいね、と賛成する。
「住まない!ケガが治り次第ここから出る!」
遼哉がそう言いながらタバコを取り出した。
「そう…あなたね、未成年でしょ?やめなさい。タバコは」
持っていたタバコを取り上げる紗佳。
「うっせぇな。返せよ!タバコ」
怒鳴る遼哉。
「まあまあ…おまえってさ、一緒に住まないワケなんかあんの?自由がなくなるからか?今みたいにタバコとか」
誠に言われて固まる遼哉。
「「そうなの?」」
美咲と紗佳がハモった。
「ちげーよ。美咲センセに迷惑かけたくないからだ!」
「迷惑なんて思ってないわよ。正直に言うとね、あたしは遼哉くんと一緒に住みたいの」
美咲がそう言うが遼哉は、首を横に振る一方だった。
「なぁ、俺たちに言えないことでもあるのか?」
誠が遼哉に聞いた。
「もしかして理事長のこと?」
紗佳が誠に聞くが誠は返事しなかった。
「ああ、そうだよ」
いきなり言い出す遼哉に驚く3人。
「おい!やめろ」
誠が止めようとするが…。
「神崎…理事長は、俺の親父だ…おふくろを死なせたヤツなんだ…」