16
遼哉が意識戻らず3日たった。
美咲、誠、紗佳の3人は交代で看病をした。
身寄りのない遼哉は、3人が頼りだった。
誠が看病をしているとき、
「…ここは?」
うっすら目を開ける遼哉。
その声に気付いた誠は
「大丈夫か?ここは病院だ」
遼哉に話しかけた。
「…あっそうか。俺、事故ったんだよな…いてて」
「ああ、3日前だ」
「3日間も眠っていたのか?」
「ああ、紗佳と美咲サンに連絡しないと…」
「…待ってくれ」
病室から出ようとする誠を引き止める遼哉。
「どうした?」
「連絡しないでくれ。…いや、2人に言ってくれないか?
"俺はもう大丈夫だ。だからここに来ないでくれ"ってな」
「なぜだ?美咲サンとケンカしたから気まずいのか?」
「…ケンカ?そこまでは…」
「覚えてないのか?…俺たち、おまえのこと心配してるんだぞ」
「…わかってる。とりあえず今は、1人にしてくれ。頼む」
「…そか。でもさ、無理だけはすんなよ」
「…ああ」
誠は、病室から出た。
+++
「遼哉くんに会わせて!」
病室の向こうから大きい声が。
耳を澄まして聞く遼哉。
「誠!どいて」
「会わせて!」
−美咲センセと紗佳サンの声だ。誠…とめてくれるだろう?2人を。でも…この声じゃ他の人に迷惑だよな…つーか、大人だろ?俺より。やれやれ−
遼哉は、仕方がなく辛そうに松葉杖で立ち上がり、
ゆっくりと歩きながらドアを開けてこう言った。
「静かにしてくんない?周りの人に迷惑だぞ」
遼哉の登場に驚いたせいか2人とも口を開けたまま固まる。
「立っても大丈夫なのか?遼哉」
心配そうに誠が話しかけてきた。
「大丈夫じゃない。手、貸してくれ」
誠は、遼哉を支えながら
「入ってもいいのか?この2人」
「ああ、ここにいても2人は帰る気なさそうだから」
「そうだな。おい!口、開いてるぞ!中に入れよ」
固まった2人に声をかける誠。
2人は返事せず、中に入る。そして
「大丈夫なの?」
「良かったぁ〜」
遼哉を見て安心したのであった。