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『美咲センセ、ウチに来てる。泣いていたぞ!何かあったのか?』
「ケンカしただけだ」
『そうか。おまえさー、ばあちゃんが死んでから変だぜ』
「そうかな?いつも通りだけど」
『何か抱えているように見えるんだ。1人で悩むなよ』
「…サンキュ。美咲センセのこと頼むな」
『ああ、おまえ、まだ美咲センセと呼んでるのか?恋人なんだろ?』
「…そうだな。いつかはな。じゃあな」
そう言い、電話を切った。
−誠に相談できないな…マジで学校辞めようかな−
−問題起こして退学する方法しかないな−
−だとしたら進学諦めないと…−
再び携帯が鳴った。今度は、紗佳からだった。
「もしもし…」
『鳴ったらすぐ出なさいよ!美咲を泣かしたね』
「はぁ?俺のせいじゃない!」
『ウチに来なさい。今すぐね』
それだけ言い、電話を切る紗佳。
−行くもんか。これを機に別れよっかな…−
言われた遼哉は、そう思った。
別れを決意し、マンションへ。
向かう途中、携帯をいじっていたら
《あぶない!!》
叫び声に気付き、振り向いた。その時、
"キィー…"
遼哉は意識を失った。
「誠くんか?すぐ来てくれ!遼哉くんが事故に遭って今、病院にいる」
『は?病院?遼哉が?どういう状態なんだ?』
「説明なんかしてるヒマない!とにかく来てくれ。すぐに」
電話を切られた誠は、紗佳と美咲に知らせてすぐ病院に向かった。
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「店長!」
誠は店長を呼んだ。そう、さっきの電話の相手は、遼哉のバイト先の店長だった。
事故に遭った遼哉の携帯に残っていた一番新しい着信履歴が店長だったらしい。
「遼哉は?」
「そこにいる。意識が戻らないんだ」
ガラスの向こうには、全身に包帯だらけの遼哉が眠っていた。
「ひどぃ…どうして…」
紗佳が涙をこぼしながらつぶやいた。
「どこに向かう途中だったかわからないんですが、後ろからトラックにひかれたみたいです。しかも居眠り運転だったそうです」
警察の人から説明を聞いた店長が3人にそう説明した。
「あたしのせいだ…」
美咲がつぶやいた。聞こえた紗佳は、首を横に振って
「美咲のせいじゃないよ。あたしがすぐ来なさいって言ったから…」
美咲の肩を軽く叩きながらそう言った。
「違うよ」
誠の声に顔を上げる2人。
「自分を責めるな。あいつだったそう思うよ。意識、戻るよ。きっと」
「…そうだな。あとはよろしく。店、開けたままだからさ」
店長はそう言い、病院を後にした。