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走りながら遼哉を探す誠。
その頃、遼哉は屋上でタバコを吸いながらペンダントを眺めていた。
−おふくろ…なんで俺を産んだんだ?なぜ、あいつの息子なんだ?−
「遼哉!ここにいたのか?」
その声に気付き、振り向くと誠がいた。
「探したんだぜ…何かあったのか?」
「いや…なにも」
「そっか…で、いつものセリフだけどゆうべは?」
「…添い寝してもらっただけ」
「は?服着たまま?」
「文句あんのか?つーか、おまえに言う必要あんのかよ?」
「ガハハッ!で、俺にも1本ちょうだい!」
手を出す誠にタバコを渡す遼哉。
「紗佳サンにバレないか?」
「1本ぐらいは大丈夫だべ?」
一緒に吸う2人。
「コラッ!!」
大きい声が2人に響き、ビクッとする。
まさか…と思いながら後ろを振り向く2人。
そこには、美咲と紗佳が腰に手をあてて立っていた。
「ヤッベェ…」
誠が吸っていたタバコを慌てて消して隠す。
紗佳が誠と遼哉の目の前まで行き、吸い殻のタバコを拾って
「コレは何?未成年でしょ?」
「何、考えてるの?ここ、学校でしょ?」
紗佳の後についてきた美咲がそう言う。
紗佳に弱い誠は、
「勘弁して…」
土下座する。逆に遼哉は反抗し、
「別にかまわねぇだろ?あっ!美咲センセ、コレ返すよ」
美咲に部屋の鍵を投げてその場から去っていった。
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「やっぱりここだったな」
誠が、海を眺めている遼哉を見つけて声をかけた。
「誠か?」
「さっきはどうしたんだ?つーか、最近のおまえさ、変だぜ。何かあったのか?」
「…神崎のせいだよ。あっ…理事長のことだよ」
「神崎っていうんだ?…なんか聞き覚えのある名前だな」
「…お前の親父の会社と関係あるのか?神崎っていうやつは」
「いや、わからん。で、美咲センセ心配してたぞ」
「俺…やっぱり美咲センセと付き合えないよ」
「なぜ?」
「美咲センセと一緒にいると落ち着くが…心のどっかで八つ当たりしちゃうんだ…」
「そっか…でも本気で好きになったんだろ?美咲センセもおまえのことすんげえ好きッて言ってたから大丈夫だぜ」
「好かれているのは知っているんだけど…」
「お前らしくやっていけばな。なっ?じゃ帰ろうぜ。美咲センセのところに」
「今から?俺、この後バイトなんだ」
時間を見る遼哉。
「今日もか?バイトするほど生活苦しいのか?ばあちゃんは死んだんだよな?」
「親に出してもらっているお前とは違うよ。俺、大学に行きてぇんだ。金かかるやろ?だから、バイトとかして貯めないと…」
「そうだよな…悪いな」
「いいや。お前、早く帰って紗佳サンを安心させろよ」
「やっべぇ〜紗佳に早く帰って来いって言われたのを忘れていた…じゃ」
誠は遼哉からダッシュで去った。
遼哉は、バイト先に向かった。