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マンションに着き
「行けよ!美咲センセは部屋にいるから」
誠に言われる。
美咲の部屋の前に立ち、
インターホンを押すべきか押さないべきか悩む遼哉。
"ピンポ〜ン"
「どちらさま…」
ドアを開けた美咲が驚く。
「さっきは悪かった。それだけ言いたかったから。じゃ」
そう言い、去ろうとする遼哉。
「待って!上がって」
誘われ、部屋に上がり座り込む遼哉。
「はい…飲んで」
目の前に出されたコーヒーを飲む遼哉。
「…あたしもゴメンね」
「…いや、嬉しかったんだ…」
「えっ?!」
「…俺も……好きなんだ」
「何?」
「だから、俺も好きなんだって言ってんの」
そう言った遼哉は、いきなり美咲にキスをした。
−この感触…すげぇ最高!−
そっと美咲の唇から離れる遼哉。
「…ゴメン」
「ううん…もう遅いから泊まってく?」
美咲が遼哉の太ももを触りながら聞いてくる。
理性を抑えている遼哉。
「誠が、自分んチに戻らないで泊まれよ、美咲センセのところにって言われたんだけど迷惑なんだろ?誠のとこで泊まるよ」
美咲に遠慮する遼哉。
「いいよ。泊まっても」
ハッと顔を上げ、
「えっ?!美咲センセのとこでいいの?」
笑顔でうなづく美咲。
「サンキュ…俺、このソファーで寝るよ」
そう言い、さっそく横になる遼哉。
美咲は、あれ?と思いながら遼哉に毛布をかける。そして
「オヤスミ」
−うっ…くっ…やめろ!−
へんな夢を見て苦しんでいる遼哉の異変に気付いた美咲は
ソファーのとこに行き、声をかけた。
その声でカバッと起き上がり周りをキョロキョロする遼哉。
「どうしたの?汗…こんなにかいて」
遼哉の額に汗を拭きながら聞く美咲。
遼哉は、何も言わず美咲を抱きしめた。
美咲は、遼哉の頭を撫でながら大丈夫よ、と言いかけて
「遼哉くん、ベッドのほうが眠れると思うからベッドで寝よっ?」
「…一緒に寝ていい?手つないだまま」
「いいよ。立ち上がって…」
+++
翌朝、太陽の光で目覚める遼哉。
隣を見たら美咲がいなくて、1枚のメモが置かれてあった。
起こさないで行くね。サンドイッチ作ったから食べてね。 美咲
−今日…あっ学校か−
サンドイッチを食べて
「うんめぇ…」
その時、携帯がなった。誠からだった。
『泊まったか?』
「おまえがそうさせたんだろ!」
『ガハハハッ!で、なんで学校に来ねえんだ?』
「俺?辞めたよ」
『いや、退学処分になってねぇ』
「どーゆーことだ?」
『説明めんどいから来い。今すぐ』
そう言われ、電話を切られた。
遅れて登校する遼哉。
学校は、昨日のことは何もなかったようにしていた。
人がいないことを確認して理事長室に入る遼哉。
「遼哉か。昨日の件考えてくれたんだな?」
「俺は辞めると言ったはず。コレ、覚えてるよな?」
ペンダントを見せる遼哉。
「これを見て俺が誰だかわかったんだろ?」
「退学はさせないよ。わたしの息子なんだから」
「俺は、あんたの息子じゃない。神崎ではなく哀川だ。だから昨日の件は考える気ないね」
「ふっ…わたしのところに来る気ないんだね」
「ああ。だから俺のことはほっといてくれ」
「わかった。その前に今のアパートを引き払っていい所に越しなさい」
「うっせぇんだよ。ほっといてくれよ」
遼哉は、部屋から出て行った。