プロローグ
高校生が主人公となっております
ある日の夜道、哀川遼哉は一人で歩いていた。
「離してってば!アンタとヨリ戻す気なんかないよ!」と遠くから女の声がした。
遼哉は、その声に気付き、その声がする方向に向かった。
その場に着くと、女の腕をつかんでいる男がいた。
女は嫌がっていて腕を振り払おうとしている。
「おい!何してんの?彼女、嫌がっているみたいだから離してやったら?」
遼哉は、女の腕をつかんでいる男に声をかけた。
「アンタ、関係ねえだろ?ひっこんでいろ!」
大声で怒鳴り、遼哉のほうに睨んだ。
「悪いが、聞いちゃったんだよな。関係が終わっちゃったのは仕方がないんじゃないのか?」
遼哉は、冷たい目でその男に言った。
男は、ブチ切れてつかんでいた女の腕を振り落とし、遼哉の襟をつかんで
「なんだ?テメェ…」男が言いかけている時、
「今だ。逃げろ!」
女に向かって遼哉は大声で言った。
女は、すぐ逃げ出し遼哉の後ろに身を隠した。
そのとき、
"ボコッ"
遼哉が倒れた。
「キヤッ!!!」
「覚えてろ!」
遼哉の頬を殴った男が言い、その場から去った。
「あの…」
女が倒れた遼哉に声をかけた。
そのとき、遼哉は気付く。
−雨宮美咲…だったのか?−
−まずい…学校で会ったらやばいな−
雨宮美咲…遼哉が通う高校の英語教師なのだ。
「あの…大丈夫ですか?」
女の正体であった美咲が自分のハンカチを遼哉の目の前に渡す。
ハッとなり、遼哉は顔を手で隠す。
「たいしたことない」
遼哉は、バレないようにいつもより低めの声で答える。
−まだ、オレのこと気付かれていないよな…バレるまえに去ろう−
「帰り、暗いかもしれないけど気をつけてね」
そう言い、去った。
大事なものを落としてしまったことを気付かずに。