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大丈夫、春は来るから 受験劣等生の合格体験記  作者: たてのつくし


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今度こそ、やってやる

 せっかく一年も浪人したのに、私はまたもや一校も合格できなかった。高校のクラスメートで浪人していた友人は、みな、無事に大学に合格していく中、再び全落ちしているのなんて、私だけだった。馬鹿陽気が取り柄の私もさすがに意気消沈し、数日、布団の中に潜り込んで、人生をサボタージュした。


 しかしながら、病気でもないのに、いつまでも布団の中でサボタージュしているわけにもいかず、もさもさと這い出して数日経ったある日、母に用事を言いつかって、私は久しぶりに外出した。その帰り道のことだ。


 私は、京浜東北線に乗っていた。夕暮れ時で、ドアに寄りかかって、いつものように文庫本を読んでいた。ふと、光を感じて顔を上げると、ガラス扉の向こう、後ろへ後ろへと流れてゆく建物のシルエットを背景にして、鮮やかなオレンジ色の夕日が、真正面から私を見つめていた。


 眩しくて思わず顔をしかめた。その時、なぜかひどく唐突に、全ての大学に落ちたことは、チャンスなのかもしれない、という思いが浮かんできた。だって、来年もう一度、受けることが出来るではないか、あの、どうしても行きたかった大学を。


 私には、ずっと前から行きたい大学があった。私の学力ではかなり厳しく、毎年、受けては跳ね返されてきた。落ちるたびに、ああ、やっぱり縁がなかったのかと、肩を落とした。そしてその度に、これこそが私の人生なのだろう、と思った。行きたかった学校を横目で見ながら、身の丈に合った学校に通う。自分の希望とは、いつも少し違う場所で生きてゆく、そんな人生。


 けれど、オレンジ色の夕日に見下ろされながら、なぜだか私は、もう一度チャレンジしたいと、しびれるように思った。どうせかっこ悪い人生だ。これ以上、失うものなど何もない。ならば、なんの遠慮がいるだろう。傷つくリスクは、これまでの比ではないかもしれないけれど、それがなんだ。今度こそ、本気で頑張って、自分の人生に決着をつけるのだ。

 


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