やばい浪人1年目
ドンキホーテが風車小屋に向かっていったように、受かるわけもない大学ばかり受験した高校生の私は、すべての大学に落ちたにもかかわらず、さしてショックを受けなかった。だって、全然勉強してなかったんだから仕方ない、と、そんな感じだった。
早々に予備校に入学を決め、大学に合格した友人達と、新しい門出を駅前のファミレスで祝ったりして、るんるんだった。この後、地獄を見ることになろうとは、その時は思いもしなかった。
とにかく、予備校がくれる教科書だけ勉強しておけばいいのだから楽勝、と、簡単に考えていたのだけれど、その教科書が思いのほか難しく、特に英語など、苦戦を強いられた。
そもそも、私は一方的に話を聞くだけ、と言う勉強スタイルが苦手だ。どうしても途中で飽きてしまうのだ。とはいえ、学校にしろ予備校にしろ、我が国日本の学びのスタイルはほぼこれなのだから、苦手だなんて言っている場合ではない。
さすがにそれだけは分っていたから、開始5分で飛んでいってしまった魂をよそに、ひたすら黒板の板書だけはやった。やったけれど、逆に言うと、それしかやらなかったのだ。恐ろしいことに、あまりに長い間、勉強部屋で時間をゴミにしてきた私には、時間をゴミにすることしか、出来なくなっていたのだ。
受験生にとって、一年というのは、長いようで短い。特に夏が過ぎてからはあっという間で、気がつくと、私はまた受験シーズンを迎えていた。




