プロローグ
初投稿です。この物語は主人公テラ・クロフトが、剣と魔法の世界で英雄になるまでの物語です。よければ是非最後まで見て下さい。
大地を渡る風が、砂塵や落ち葉を巻き上げ、太陽の光を虹色に揺らめかせる。
この世界には、目に見えぬ糸のような力――魔力が巡っている。
火を操る者、水を呼ぶ者、土を踏みしめ雷を落とす者。風を纏い空を舞う者。力の行使は、時に英雄を生み、時に災厄をもたらす。
シルク村の外れ、練習場では少年が剣を握りしめていた。
その手に宿るのは、父の炎の熱、母の水の冷たさ。だが本人はまだ、それを使いこなす日が来るとは知らない。
その名は――テラ・クロフト。小さな体に秘められた力は、世界の鼓動と呼応するように、静かに震えていた。
遠くの山々の影に、見慣れぬ気配が忍び寄る。
夜の砂漠や森の奥底、誰も知らぬ場所に潜む魔物たちの影。今、この村に、初めてその足音が届きつつあった。
少年はまだ知らない。後に訪れる恐怖と試練、命を賭ける戦い、守るべき者たち――すべては、この小さな村で静かに芽吹き始める。
風に運ばれる異国の声、遠くで揺れる炎の光、未知の匂いに胸が高鳴る。
少年は剣を握り締め、瞳をぎゅっと閉じた。
小さな村に訪れる嵐は、まだ静かだが、間違いなく、世界を揺るがす力の前触れである。
テラはまだ知らない。
この世界で起こるすべての出会いと試練、失われる命、そして守るべきもの。
だが、世界は彼を待っている。
剣と魔力、運命と勇気が交わるアルテナスで、英雄譚の幕が、静かに、しかし確実に開かれる――冒険は、もうすぐ始まるのだ。