『エネルギアの書第2部 ~ホルモンの王国をめぐる冒険~』
命の工場を巡る旅を終えたリュウたちが、次に向かうのは――
目には見えないけれど、命のすべてを指揮する「ホルモンの王国」。
ホルモンとは何か?
成長を促し、エネルギーを使わせ、心まで動かす“命のメッセージ”。
新たな冒険は、血液を舞台に、遠くの細胞まで情報を届ける“伝令たち”の物語。
そこには、命の調和を守る者たちと、それを乱す者たちがいる。
リュウたちとともに、「命令の世界」を旅してみませんか?
プロローグ
「見えない命令の王国へ」
命の工場エネルギアを旅したリュウたちは、再び静かな丘に集まっていた。
風がやさしく吹き抜け、空はどこまでも澄んでいる。
「リュウ、次の旅の準備はいい?」
グリコがにこりと笑った。
「もちろん!」
リュウは胸を張った。
「今度は、どんな世界に行くんだ?」
アミナが空を見上げ、静かに答えた。
「今度は……命令の王国。
目には見えないけれど、体のすべてを動かしている、大いなる伝令たちの世界よ」
そのとき、空に光の門が現れた。
門には、金色の文字が浮かび上がる。
《ホルモンの王国へ──命をつなぐ見えざる絆を知れ》
リュウはごくりと唾を飲み込んだ。
「ホルモン……?」
「うん」
グリコが肩に乗り、語り始めた。
「ホルモンは、体のあちこちから放たれるメッセージ。
内分泌器官という国々から発せられ、血液を旅して、遠い細胞たちに指令を届けるんだ」
「ホルモンがなかったら?」
リュウが尋ねる。
「命令が届かない。だから、成長もできないし、エネルギーもうまく使えない。
ストレスに立ち向かうことも、眠ることも、愛することも、できなくなる」
アミナの言葉に、リュウは思わず背筋を伸ばした。
「そんなに……大事なものなんだな」
「そう。ホルモンは、命の指揮官たち。
でもね……中には、命令を乱す者たちもいる」
グリコの目が少しだけ曇った。
「間違った命令。暴走した伝令。それが命に災いをもたらすこともあるんだ」
リュウは拳を握った。
「だったら、僕たちが正しいメッセージを取り戻す!」
空の門が、やさしく光った。
リュウたちは、新たな冒険へ向けて、光の中へと飛び込んだ。
新章『ホルモンの王国をめぐる冒険』、いよいよスタートです!
ホルモンは、「目に見えない命令」として、体内のあらゆる働きを調整しています。
でもその存在は、意外と知られていない……。
本作では、ホルモンを“王国の伝令”として擬人化しながら、
内分泌の仕組みや働き、そして疾患としての側面も物語に盛り込んでいきます。
糖・脂質・タンパク質ときて、次は「命令そのもの」。
これから始まる、新たな体内ファンタジーに、ぜひご期待ください!