母妹丼
■ 本作について
本作は 世界観設定・アイディア構築・プロット立案をすべて著者自身が行っており、執筆の補助ツールとしてAIを活用しています。
■ 活用の具体的な範囲
自己規範にのっとり制作という一面はありつつも執筆であることは放棄しない方針です。
興味があればこちらをご覧ください→ChatGPT活用の具体的なイメージ[https://note.com/makenaiwanwan/n/nc92cf6121eb3]
■公開済エピソートのプロットを公開中
「主体性・創造性・発展性・連続性」を確保している事の査証が目的です。
https://editor.note.com/notes/n52fb6ef97d70/edit/
■ AI活用の目的とスタンス
本作は 「AIをどこまで活用できるか?」を模索する試み でもあります。
ただし、創作の主体はあくまで自分 であり、物語の本質やキャラクターの感情表現にはこだわりを持っています。
また、すべてを自身の手で執筆される方々を心から尊敬しており、競合するつもりはありません。
魔王フィデリアの玉座の間に、さらなる緊張が走った。
ミナ・クロイツナーを従え、姿を現したのはふたりの王族――フィデリアの母アデリアーナ、そして、妹のミリアだった。
百人のメイドたちは一斉にひざまずき、頭を垂れる。
それは単なる儀礼ではない。ヴァルエンツァ王家の血に対する畏怖が、自然とそうさせていた。
その空気に引かれたのか、あるいは伴侶の母に対する礼儀と考えたのだろうか、ハルトもまた、ゆっくりと頭を下げた。
「ハルト。貴様、何をしている?」
鋭くも落ち着いた声が、玉座より響く。
「えっ? 何をって……」
フィデリアの意図が掴めず、ハルトはきょとんとした顔を向けた。
その間の抜けた表情に、アデリアーナとミリアは思わずちいさく笑みをこぼす。
「貴様は、わらわの夫だ。ヴァルエンツァ家の“王の伴侶”として、誰にも頭を下げる必要などない……たとえ、それがわらわの母であっても、だ」
フィデリアはきっぱりと言い放つ。
彼女が魔王であり、ヴァルエンツァ家の当主である以上は、その夫たるハルトもまた、王族の中で特別な立場にある。
アデリアーナやミリアといった王家の血縁者に対してさえ、頭を下げる必要はない。
むしろ、彼女たちに“下げさせないといけない”立場なのだ。
「ええ!? なにそれ!?」
「何をそんなに驚いておる? 貴様も、そろそろ己の“立場”というものをわきまえねばなるまい」
フィデリアの声に、責めるような響きはなかった。あくまでも、諭すような穏やかさがそこにはある。
ハルトが平民の出であり、王族の作法に不慣れなことなど、フィデリアは重々承知していた。
「うーむ……どうにも難しいな……」
「慣れるのだ」
ハルトは常日頃からメイドたちに“舐められて”いる。急に“偉ぶれ”と言われても、彼は腹落ちしない様子だ。
だが、それを怠ってフィデリアに恥をかかせるのならば、拒む理由はなかった。
それでも、やはり釈然とはしない。平民出の自分が、“当主の伴侶”というだけで王族から礼を受けるというのは、どうにも場違いに感じる。
仮に“みだりに頭を下げてはならない”という“立場”を受け入れたとしよう。
それが“王の職務”なのだとすれば――思い返せば、ほんの十分前のことだ。
自分のやらかしのせいで、フィデリアがメイドたちに頭を下げたのだ。
魔王に、そんなことをさせてしまった。その事実が、いまになって胸に重くのしかかっていた。
バツの悪そうな、不安げな表情を見せるハルト。
そんな彼を見かねたのか、アデリアーナとミリアが一歩前へ出る。
ふたりは静かに裾を持ち上げ、膝をわずかに折った。
それは、王家の場でのみ行われる、控えめな礼の所作。
日頃は気取らないふたりだが、この場ではあえて形を整えてみせたのだ。
「うっ……」
ハルトはまたも引っ張られて頭を下げそうになるが、何とか耐えた。
フィデリアの視線と、顔は見えずともミナから放たれる圧力。その両方を感じたからだ。
「ごめんなさいね~、ハルトちゃん。フィデリアは昔っから、こんな感じなのよねぇ~。お父さんに似たのかしら~?」
アーデリアの声は柔らかい。
若く聞こえるわけではなく、年相応の声色ではあるのに、浮遊城の誰よりも“気の抜けた”ような響きを持っていた。
フィデリアは、“威厳”という言葉をそのまま形にしたかのような存在だ。
その彼女を、そっくりそのまま成熟させたのがアーデリア――そう断言しても問題ないほど、ふたりは似ている。
だが、発する空気はまるで違った。
フィデリアは“魔王”、アーデリアは“お姫様”。肩書きではなく、“雰囲気”がそう語っている。
「違う。わらわが悪いのではない。母君が“のんびり”しすぎておるのだ」
フィデリアは、呆れ混じりに吐き捨てるように言った。
「え~? そうなのぉ?」
アーデリアは、もともとほとんど閉じたままの両目を、さらに細めた。
額にある魔眼だけが静かに開かれている姿は、アンバランスなはずなのに、不思議と気品さえ漂っている。
頬に手を当て、わざとらしく口を尖 らせるその仕草は、まるで拗ねた少女のようだった。
造形として語るならば。その顔立ちは氷のように冷たく、端正に整っている。
フィデリアの若さを、妖艶さと気品で包み込んだような完成された美しさ。
魔族特有の不老長寿によって“老い”や“劣化”を一切感じさせず、ただ研ぎ澄まされた“魔界の美”がそこにあった。
(フィデリアも将来は“こんな事に”なるのか……)
ハルトは思わずそんなことを考えてしまう。“こんな事に”とは、もちろん良い意味でだが、熟女という概念すら超越した成熟美。
この場でそんな妄想をするのは不敬かもしれないが、想像せざるを得なかった。
なぜなら、その未来に、自分はもう生きていないかもしれないからだ。
短命種と長命種。その種族の差による悲哀はここにもある。
アーデリアはそこから、本当に他愛もないおしゃべりを始めた。ゆったりとした調子で、途切れることなく。
誰もそれを遮れず、玉座の間にいる全員が、黙って聞いているしかなかった。
見かねたのか、ミリアがちいさく息をついて、前へ出る。
「お姉さま、何か御用ですか? 本題に入らないと、お母さまは百年しゃべり続けてしまいます」
ミリアの声は凛としていた。
母アーデリアはもちろん、姉フィデリアと比べても、はっきりと“若さ”が感じられる。
やや幼い響きと言ってもよかったが、こと“しっかり感”においては、アーデリアとは比較にならない。
ハルトには、魔族である彼女たちの容姿の差がいまひとつ掴みにくかった。
加えて彼女たちは“高位魔族”という貴種でもある。
その“美しさ”や“威容”の輪郭は理解できても、細かな違いまでは把握しきれない。
とはいえ、フィデリアもミリアも、母アーデリアによく似ているという話は、ミナから聞いていた。
つまり“幼いフィデリア”がミリアであり、“成熟したフィデリア”がアーデリアになる、ということなのだろう。
「うむ。母君、ミリア。貴様たちをここへ呼んだのは――先に話した“例の件”ゆえだ」
フィデリアは静かに告げる。
あらかじめ決まっていた段取りを、淡々とこなすように。
「ああ、あの話ですね……」
ミリアの魔眼が、ピクリと反応した。
その表情に一瞬だけ浮かんだ不安――それは気のせいだろうか。
「まぁまぁまぁ! そうなのね! ヨロシクね、ハルトちゃん!」
アーデリアは、その容姿にはおよそ似つかわしくない小躍りを見せた。
似合っているとは言いがたいが、なぜか可愛げがある。
だとしたら、これも“似合っている”ということなのかもしれない。
「えっ? はい? ……何がですか?」
ハルトには心当たりがまるでなかった。
「母君、ハルトにはまだ何も言っておらぬのだ。順に説明する。黙っておくように」
「は~い♪」
アーデリアは、子供のように楽しげな返事をする。
あらかじめ補足しておくと、彼女は少々“変わって”いる。
ヴァルエンツォ家の血統はアーデリアに流れており、彼女の夫――つまりフィデリアの父は“婿養子”という立場で家系に入った。
ハルトと同じ構図だが、前当主の座を継いだのはアーデリアではなく、その夫だった。
その理由については言うまでもない。アーデリアの“性格”である。
要するに王家の“箱入り娘”が、極まってしまった結果だ。
「ハルト、我が夫よ――」
フィデリアは玉座にもたれ、ゆっくりと脚を組み替える。
その動作にあわせて、マントが静かに揺れ、革のブーツが「ぎちり」と妙に艶めかしく響いた。
「どうした? フィデリア、我が妻よ」
ハルトの問いに、フィデリアはふっと笑みを浮かべて応じる。
「前にも言うたな。浮遊城はいまや貴様のためにある……と。わらわを含め、この場におるすべてが“受精体”なのだ」
――受精体。ハルトの“精”を受け、子をなす“器”のこと。
「……?」
ハルトは勇者だ。神の気まぐれが人間に与える、極端なまでの“上振れ”。心技体すべてを備えた究極兵器。
だが魔族の常識、いや、倫理観にはとにかく疎い。
「母君も、ミリアも……例外ではない。“種”を仕込め。我が夫よ」
「うそでしょ!?」
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