夢に向かって(小説家編)
雫はお姉ちゃんと同じ小説家になるという夢を持ち日々奮闘中。しかし、年齢が上がるにつれ入賞回数が減っていき最近は全く入賞できなくなってしまった。さらに小説のアイデアがわかなくなってきた。そんな時お母さんに勧められネタを仕入れに地球へ旅行に行くことを決意した。
登場人物
歌川 雫この物語の主人公
歌川 みのり(うたがわ みのり)しずくの10歳年上の姉
西島 怜奈地球に住んでいる高校2年生
①私の過去
私は歌川雫。私には10歳年の離れた姉がいた。お姉ちゃんは高校在学中に小説家としてデビューした天才作家だった。私はそんな姉にあこがれて、小学校3年生ぐらいのころから小説を書いていた。何度か出版社の賞に応募していて、それをお姉ちゃんも応援してくれていた。おかげで何度か入賞することはできた。しかし、中学生になると入賞できることはほとんどなくなってしまった。そして、尊敬していたお姉ちゃんも私の中学入学直後に交通事故で亡くなってしまって、アドバイスももらえなくなった。でも、私はめげずに小説を書き続け、高校2年生になった今でも書き続けている。
②現在の私
私はサーペント星という星に住んでいる。地球から約5億光年離れた星だ。私は今、行き詰まっていた。新作の小説を書いているのだが、全くアイディアが浮かばないのだ。そこにお母さんが声をかけてきて、「最近、小説が全然書けてみたいだけど大丈夫?ネタを探しに旅行してきたら。ちょうど、もうそろそろ夏休みだし。ちなみに行くなら地球がおすすめ。お姉ちゃんもネタを探しに行ったことがあって、その関係で地球に知り合いがいるの。連絡して数日居候させてもらうぐらいはできると思う。」私はその提案に乗り連絡してもらい、地球に行くことが決まった。ちなみにこの星では技術が発展していて、各家庭に一台小型の宇宙船があり、しかも手のひらサイズに小さくすることもでき、不思議な力で光より早く動くことができ、1時間で約1億光年進ことができるというとても高性能の宇宙船である。私はワクワクしながら夏休みが始まるのを待った。
③いざ地球へ
夏休み初日、私は宇宙船に乗り約5時間かけて地球にやってきた。私は宇宙船を小さくしてポケットにしまい、お母さんに渡された地図を頼りに居候させてもらえる家に向かって歩きだした。20分ぐらい歩いて、目的の家にやってきた。私はドキドキしながらインターホンを鳴らした。少しして扉が開いた。開けてくれたのは私と同い年ぐらいの女の子だった。「みのりお姉ちゃん久しぶり。」と言っていきなり抱きついてきた。私は驚いて「ちょっと離して。私はみのりじゃなくて、雫です。みのりは私の姉です。」と言った。すると女の子は「ごめんなさい。」と頭を下げ、「私は西島怜奈と言います。よろしくお願いします。雫さん。」とあいさつをしてくれ、その後、私を家に上げてくれた。家に上がり怜奈ちゃんとその両親から話を聞いた。内容はというとお母さんは娘が行くとしか言っておらず、こっちの家族はお姉ちゃんが来ると勘違いしてたらしい。それが怜奈ちゃんにも伝わって私の顔をインターホン越しに見たときにお姉ちゃんと勘違いしたらしい。私はお母さんらしいなと思い苦笑した。
④ネタ探し
私は翌日からネタを探すために町を散歩した。最初は怜奈ちゃんに付き添ってもらいながらだったが徐々に一人でも大丈夫になってきた。少しづつ遠出をするようになり、ネタになりそうなものをすぐにメモできるようにメモ帳も持ち歩くようにした。そして気づけば地球に来てから2週間がたっていた。私はもうそろそろ帰らなければならないと思い、怜奈ちゃんとそのご両親、そしてお母さんに帰る報告をして帰宅した。
⑤執筆作業
サーペント星に戻った私は、地球で書いたメモを見ながら物語の構成を考え、執筆を始めた。今度こそは入賞できるように表現や文章の構成などを考えたりした。そして締め切り一週間前にようやく完成した。しかし夜になっていたため私は明日出そうと思って眠りについた
⑥夢の中で
その日の夢にお姉ちゃんが出てきた。お姉ちゃんは私に聞いてきた。「なんで雫は小説を書いているの?」私は「お姉ちゃんに憧れて小説家になりたいと思ったから。」と返した。「じゃあ、一つだけアドバイス。本当に小説家になりたいのであれば今みたいな顔していちゃダメ。書いている自分がまず楽しまないと。」「楽しむ?」と私は聞き返した。「そう楽しむこと。小説、特に雫が書いているような物語は言葉で読者を楽しませる職業で、言葉づかいや文字に作者の気持ちはそれなりに出てしまうものなの。だから、自分が楽しくないとそれが読者にも伝わって、読者も楽しくないと思うよ。それじゃ頑張ってね。」と言ってお姉ちゃんは消えていってしまった。私はその瞬間、目を覚ました。
⑦作り直し
私はお姉ちゃんのアドバイスの基、構成はあまり変えずに自分が楽しめるものに提出期限が近付く中、書き直し始めた。そして期限三日前にようやく完成した。読み直してみたが自分で読んでも楽しく納得のいく作品ができた。私は優秀賞が取れるようにと祈りながら、ポストに原稿用紙の入った封筒を投函した。
⑧結果発表