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聖女ですわ!! 1-4


 お姉さまと男の漫才を見ていたら、体が大きくむさくるしい二人の中年男性が私の後ろに立ちました。


「お急ぎなら俺らがサービス料金で送ってやろうか?」

「こう見えて腕は立つぜ」


 ニヤニヤと笑う人相の悪いお二人ですが、筋肉もしっかりしていますし実力は確かそうです。


「こらこらだめですよぉ、お二人は遠征終わったばかりでしょう。既定のお休み取るまで護衛依頼は受けれませんよ」

「そう言うけどよぉ」

「酒代がもう空で」

「護衛以外のクエストをこなしてください、あとギルド裏にあるシャワーでさっさと旅の汚れ落としてきてくださぁい」

「分かったよ、行くか」

「お嬢さんまたな」


 人相が悪いのではなく顔色が悪いだけだったようです、理由も二日酔いとは……大人とは大変ですわね。


「あいつらは?」

「顔が怖くて態度が悪くみえるだけの、経験豊富なB級冒険者です。あのお二人なら護衛も安心なのですが、長期遠征から戻ったばかりで疲労が溜まっているので護衛クエストは受けれないんですよ。ギルドの規定ですから」

「露骨に怪しいあの笑いは?」

「美人を前にデレデレしていただけです」

「まぁ見る目がある二人なのね」


 照れますわぁ!


「あ、それと聖女様」

「はい?」


 お姉さまが私の耳に顔を近づけました。

 内緒話ですわね! 私、耳が良いんですのよ!


「あなたが信仰している神の名を教えてください、それによって若干護衛選定が変化します」

「よろしくってよ!」

「おい、なぜマントを脱いだ!! そして机の上に乗った!」


 もちろん目立つために決まっておりますわ!

 わたくしの敬愛する神様は目立つの大好きですから!!


「わたくしの名はジャクリーヌ、偉大なる神の加護を受け聖女となった身ですわ! 月の光のごとく下界を照らし人を守り、時に聖なる光で人々を守る我が神の名はイネス!!」

「うわぁやっぱり」

「時に聖なる光で?」

「常時光ってるイメージしかねぇよ」

「あの方、派手好きだもんなぁ」

「おーほっほほほほほ!!」


 さすがは我が神、有名ですわぁぁあ!!


「はい、護衛の方決まりましたよ。おめでとうございます」

「うそだろ」

「え、嘘だろ」

「お疲れ、隣に座ったのが運の尽き、いや幸運?」


 護衛として指定されたのは串焼きを奢ってくださった紳士と、酒を飲むならサラダでいいから腹に入れろと言ってくださった方でした。

 さすが私、持っていますわね。


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